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駿河酔太郎よもやま話 バスルーム

いろはにほへと(其の四/四)
(古今15人・名香集)
■紫の匂へる妹を憎くあらば人妻ゆえにわれ恋ひめやも 天武天皇
■あをによし奈良の都は咲く花の匂ふがごとくいま盛りなり 小野老
■春の苑くれない匂ふ桃の花下照る道にいで立つをとめ 大友家持
■さつき待つ花橘の香をかげば昔の人の袖の香ぞする 読人不知
■春の夜の闇はあやなし梅の花色こそ見えぬ香やはかくるる 凡河内躬恒
■蝉の羽の夜のころもは薄けれど移り香濃くも匂ひぬるかな 紀友則
■匂ふより匂ひをそふと水底にすみてぞかをる白菊の花 藤原道方
■霞匂ふ夕日の空はのどかにて雲に色ある山の端の松 伏見院
■白檀の匂ひこなたへ絶えずあふる憎き扇を奪ひぬるかな 与謝野晶子
■含みたる酒の匂ひのおのづから独り匂へるわが心かも 若山牧水
■それとなくくに郷里のことなど語り出て秋の夜に焼く餅の匂ひかな 石川啄木
■柿若葉かがやき匂ふ坂の上にこころほがらかに汗ふきにけり 古泉千樫
■君をかへす朝のいしみち舗道さくさくと雪よ林檎の香のごとく降れ 北原白秋
■香煎の匂ひほのかにただよへる祇園はかなし一人歩めば 吉井勇
■ひとすぢの春ぞほのめくフリージヤのかをる窓より空を見やれば 岩谷莫哀


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