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ギリシャ温泉施設の紹介









  ■ギリシャの温泉
ギリシャには752の鉱泉(温泉を含む)がある。そのうち348ヶ所の鉱泉が現在利用されており、180が浴用、148が飲用そして20が浴用・飲用双方に利用されている。
 これらの源泉はギリシャの全土にわたり分布し、美しい海岸や緑豊かな山々などの良好な自然環境を有している。ヨーロッパの温泉は概して温度が低いが、ギリシャにはエディプソスの75℃の高温泉や、イカリアの高放射能泉などの特異な温泉があり、温量も豊富である。
 ギリシャの鉱泉は古代ギリシャ時代から、ローマ、ビザンチンと各時代を通じて利用され、その遺跡も残されている。しかし今日の温泉地の発展は、ギリシャ独立以降、20世紀初頭から半ばにかけて、各温泉地に温泉施設、宿泊施設が集中的に整備されたことによるものである。この間は、ギリシャで最も水治療法や気候学が注目された時代であり、大学での研究・教育活動も盛んであった。現在、ギリシャの温泉地でみられる温泉施設、浴場は、当時のものがほとんどで、治療を自的とした個室の浴室から成る施設が多い。

 現在利用されている温泉地は32ヶ所。中でも、諸施設の整った温泉地は15ヶ所である。源泉のほとんどはギリシャ政府に属し、また1930年以降は源泉資源の保護のために、源泉から1キロメートル以内の開発は保全策を講じることが義務づけられている。したがって、各温泉地の自然環境は素晴らしいものがある。
 ギリシャの温泉施設は5月から10月までの夏期シーズンの開業で、その利用者は年間18万人ほどと、温泉資源の豊かさに比べ、資源が充分活用されているとはいえない。現在、ギリシャ政府は、温泉観光の向上のため、各地の温泉地の整備・開発を推進している。









■ツーリズムと温泉

 ギリシャは世界各国から毎年800万人以上の観光客が訪れる世界有数の観光国である。観光客にとってのギリシャの魅力は「青い海と輝く太陽」と「古代ギリシャの歴史と文化」であるが、近年ギリシャ政府は国際観光の振興のために、様々な魅力づくりを推進している。
 その主要プロジェクトは、マリーン観光、冬期観光、療養観光という「新しい旅」の開発であり、そのためにレジャー用のマリーナの整備、スキー場や温泉地の開発・整備が行われている。
 ヨーロッパのリゾートは、ハイクラスの人々が治療のために温泉に出かけるようになり温泉リゾートが形成され、これに追随し海浜や山岳のリゾートが開発されてきた歴史がある。ギリシャの温泉地開発は、この歴史経緯を踏まえ、治療目的のハイクラスの長期滞在客を誘致しようとするものである。
 このプロジェクトの一環として、GNTO(ギリシャ政府観光局)によって1988年に1はエディプソスの水治療法・物理療法センター、1989年にはプラティストモにホテルが整備され、現在、キリニでは1日6,000人が利用できる水治療法センターの整備が進められている。また、GNTO所管のカイアファ、テルモピレーの温泉地や、地方自治体のニシロスでは温泉施設の整備計画が進行中であり、近い将来ギリシャの温泉地はより充実した施設設備、治療体制をもつものとなろう。
 温泉施設・温泉地の整備とともにギリシャ国民の温泉治療を推進するためのプログラムも、1987年より充実されている。このプログラムは、治療を必要とする低所得者を対象としたもので、エディプソス、イパティ、ルトラキ、キリニ、及びエレフタレスの5つの温泉地で実施され利用者は1泊1,OOOドラクマ、食事代の半額がGNTOと社会保険機構により助成される。1987から88年にかけて、2,900人が、このプログラムを利用している。

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