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旅行作家 竹村 節子氏がお薦めする
"癒しの温泉" シリーズ  第7回

竹村 節子 竹村 節子
温泉雑誌の編集者を経て旅行作家へ。現在は、(株)現代旅行研究所の専務取締役。旅行雑誌、婦人雑誌などへの執筆も多く、講演も行う。温泉に関する著書多数。全国の温泉地をつぶさに周り、各地とのネットワークも広い。


「湯治場を守るのが使命です」
川古温泉 濱屋旅館(群馬県)

たった10年ほど前までは「湯治場」というと、時代遅れのごときイメージでとらえら れていた。すべてが団体指向で、大規模な観光旅館をよしとした時代だった。 ところが現在はといえば、規模や設備はともあれ、本物の温泉をいかにたっぷり使えて、心と身体を癒せる温泉か、というところに注目が集まっている。
贅沢ではないが 清潔な施設と健康的な食事が供され、リーズナブルに利用できれば最高、ということ だ。
規模はオーナーの顔が見える程度の宿が理想。「顔なじみ」の快さを求める客が増えている。と思っていたら、経営者の中には 「やっぱ温泉地には、色気がなければ面白くなかんべ!」と公言してはばからないご尽もいて、如何ともしがたい。
三国峠下の猿ケ京温泉から、水上町へ抜ける県道を走ること約6分。赤谷川の渓流畔 ぎりぎりに建つ川古温泉・濱屋旅館。鉄筋4階の新館と3階の旧館があり、旧館の8 室はもっぱら4日以上滞在する湯治客用に開放している。
温泉自体は平安時代すでに記録に残っていて、雪が消えると湯小屋を建てて近在の人達が入浴していたという。 大正末期に当主・林 泉さんの祖父が権利を譲り受けて旅館としたのが濱屋旅館。以 来「温泉の効果を頼りに来てくれる人がいる限り、湯治を大切にしてゆきたい」とい う営業方針に変化はない。昭和62年に新源泉を掘削、39度の石膏泉が毎分700・も湧 いている。




15年ほど前に作った河原の露天風呂には湯滝が3本落とされ、文字通りのかけ流し状 態。ぬるいから長時間入浴するのが習わしで、女性は手製の湯浴み着をつけての混浴。 話もつきると湯船の縁に何冊も置いてある流行歌の歌詞ノートを使ってのど自慢とな る。アカペラだから鼻歌がすぐに合唱となり、そのうち大合唱となって盛り上がる。 なにしろ谷間の一軒宿だから文句をいってくる相手もいない、という恵まれた環境。 湯につかりながら力一杯歌をうたうということは、けっこうな運動量になるし、スト レス解消にももってこいの、まさに別天地。 食事は大旦那が包丁を握っているので、岩魚や山女の塩焼きに季節の山菜や野菜を使っ て家庭的なヘルシー料理を出す。玄関前に燻製窯を据えているので美味しい手製の燻 製類も食卓に登場するはずだ。

所在地/群馬県利根郡新治村相俣2577
交通/上越新幹線上毛高原駅から猿ケ京行きバス20分、または上越線沼田駅から猿ケ 京行きバス1時間の終点下車、タクシーで10分
濱屋旅館 0278-66-0888 http://www3.kannet.ne.jp/~kawafuru/
料金/1泊2食1万2000円(税別)〜、湯治は4泊以上、1日3食付きで旧館8000円〜、新館1万円〜

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