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旅行作家 竹村 節子氏がお薦めする
"癒しの温泉" シリーズ  第33回

竹村 節子 竹村 節子
温泉雑誌の編集者を経て旅行作家へ。現在は、(株)現代旅行研究所の専務取締役。旅行雑誌、婦人雑誌などへの執筆も多く、講演も行う。温泉に関する著書多数。全国の温泉地をつぶさに周り、各地とのネットワークも広い。



温泉・食事・ヒーリングで健康づくり
湯ノ花温泉

 関西圏の温泉地はいまでも団体客がメインだ。さすがにバスを何台も連ねて、という風景はまれとなっているが、それでも一、二台で旅館の玄関に乗りつける風景がよくみられる。亀岡市の郊外にある湯ノ花温泉もそうした温泉の一つで、見どころとか環境などは全く関係なく、道路の横断が出来ないほどダンプカーがばんばん飛ばす国道沿いに旅館が点在している。旅館組合へ「見学するところ」を問い合わせても「さぁ〜、これといって何も・・・」という返事。よく商売しているなぁ、と感心。





 そんな温泉地の入口にある「翠泉」という宿に泊まる。経営者は北川久美子さんと母上。14室ある客室を12室しか使わない。客は一日10組までと決めている。客同志がロビーや風呂場でくつろげる「間隔」を保てるキャパシティーがそれくらいだからという。






「小さな宿ですが、お客さまがゆったりとやすらげる場を提供したい」
 と北川さん。お客を縛りたくない、という発想から二部式の作務衣風くつろぎ着と貫頭衣風の部屋着を用意。紐を使わないですむ工夫もしている。



 



 食事は魚肉は最小限にとどめ、野菜をメインに据えて会席料理で出す。一年半ほど前に定年退職をした先代板長に代わって、京懐石を修業した37歳の成田正吾さんが厨房を預かることになったのを期に、上賀茂、有機栽培の野菜のみを直に提供してもらっている。







「野菜のすばらしさを、あらためて勉強させてもらいました」
 と成田さん。野菜はその味で作り手がわかるほどに微妙なものであることを知ったという。その材料の持ち味を生かすために、一年ほど試行錯誤を繰り返した。京料理の基本では野菜が死んでしまうからだ。今ではおつき菓子からデザートまで成田さん自ら野菜で作る。食事処も客室、椅子式の個室、カウンター割烹席から好みで選べるようになっていて、料金設定が少しづつ違う。







 もうひとつの特徴が和製のハーブ香料によるヒールマッサージだ。館内で一番オーラの集まる部屋をマッサージ室に当ててあり、
「温泉の効能、香油の力、マッサージ技術、環境の相乗効果でストレスや身体の失調を改善調整してゆく場」
 にしたいのが北川さんの目標だ。これに健康的な食事が加わるのだから、鬼に金棒。21世紀の理想的なスパリゾートの構想がここにある。




住所/京都府亀山市湯ノ花温泉郷
交通/JR嵯峨野線亀岡駅下車本梅・八田行バス20分、送迎あり要予約
車/京都縦貫自動車道亀岡ICから国道372号利用10分
宿/翠泉 0771-22-7575 一泊2食付き3万2000円〜
ヒールマッサージ=フルボディー1時間2万円、
オイルマッサージ45分6000円

 
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