NPO法人健康と温泉フォーラムは医療、環境、施設等、温泉保養地に関わるあらゆる分野における専門家を中心とした団体です。
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今治湯ノ浦温泉 いまばりゆのうらおんせん

リウマチ神経痛 筋肉のこわばり病後・疲労回復 健康増進など

<所在地>愛媛県今治市湯ノ浦
<交通>JR予讚線今治駅から車で25分
<泉質>弱アルカリ性冷鉱泉

温泉療法医がすすめる温泉 曽我部輝久
(高松市一宮町曽我部外科医院院長/外科/医学博士)

新時代に向けての健康基地目指す
人間で一番美しいことは「いいおじいさんになる、いいおばあさんになること」だそうだ。高齢社会、聞き慣れた言葉で誰でも知っているが、一歩踏み込んで「では、その実態は」と尋ねると返事は返って来ない。先頃発表された厚生白書によると65歳以上のお年寄りは、1950年25人に1人だったが、1985年10人に1人。1990年8人に1人。平成22年の2010年には5人に1人がお年寄りになる。では、これらお年寄りの医療費や年金は、どうまかなっているかその扶養構造は、現在20歳から64歳までの働き手6人で1人をみているが、平成12年の2000年には4人で1人、2020年では2.3人で1人を支えなければならなくなる。この数字だけでも高齢者の将来環境は厳しい・・・・・・の一語。お年寄りが一番怖れている病気に対し既に“入院お断り”が現実のものとなっている。このため厚生省は、昨年から寝たきり老人を減らす、“寝たきり老人ゼロ作戦”に入った。   高齢者の不安現象に歯止めをかけ「長い間ご苦労さんでした。あとは安心しておまかせ下さい」と言いたい、あの手この手の“保健福祉サ−ビス10ヵ年計画”を展開している。
その一つが、医療控除になる温泉利用型・健康増進施設の認定であろう。健康、リフレッシュに温泉がいいということは誰もが認めるところ。昔から湯治という風習があった、医者が少なく滅多なことで診てもらえなかった時代のこと、自己防衛のため先人が考え出した知恵、さしずめ今の人間ドッグ療法だろう。〈曽我部先生の話〉
温泉利用型・健康増進施設は現在8ヵ所が認定されているが、その8番目が新装間もない今治クアハウス〈多目的温泉保養館〉で、早速訪ねてみた。

お風呂も休息の“間”が大切
瀬戸内の難所、来島海峡から燧灘(ひうちなだ)を望む景勝の台地にあった。昭和51年、近くに湯量豊富な温泉を見つけたことから市開発公社がCCZ〈コ−スタル、コミュニティゾ−ン〉と呼ぶ、海岸のふれあい地域とでもいう総合公園地を造成、企業と一般向けの高級保養地として売り出した。ところがその直後、オイルショックと地元の主力産業である造船不況にあい、分譲地は虫食い状態となった。考えに考え抜いた結論は「今治がより発展するには、市民の健康保持を第一に考えることである・・・・・・」だった。安心して楽しみながら効果的な健康づくりのお手伝いの場をつくる、これがクアハウス誕生となった。クアハウスの出現で町は活気付いた。折も折、第2次いざなぎ景気の到来で分譲地は忽ち完売、クアハウスの客を当て込んだホテルが3軒、間もなく開業となる。クアハウスは地下1階地上5階延べ3400平方メートル、ヨ−ロッパ風のしゃれた建物。   浴槽は、蒸気浴、部分、全身浴、箱むし、気泡、圧注浴、打たせ湯、飲泉など様々。温度が低めの寝湯は心臓や肺に負担がかからず鎮静、鎮痛、催眠作用があるので動脈硬化、高血圧によく、神経疲労、不眠症などに効果がある。入浴については指導員がいて健康な人やヤング向きの一般コ−ス、美容コ−ス、ストレス、肥満解消、高血圧、筋肉疲労肩凝りコ−ス、それにドイツの有名な温泉保養地バ−デンバ−デンにならった各コ−スがあり、効果的な入浴法を教えてくれる。入浴は足の方から順にかけ湯して血圧の急激な上昇を防ぐ、ことが大事ということは、どの温泉でも言えることだが意外と知られていない。また入浴も運動と同じで身体への負担が大きい。入浴の合間にゆったりくつろぐ休息、いわゆる“間”をとることも大切だ。

足を止めさす、魅力の地に

 先年の瀬戸大橋に続いて、計画最後の内海大橋も工事が始まった。10年後には完成が予定されている。広島尾道から大小9つの島伝いに今治に入る西瀬戸自動車道で、完成すれば、あまりにも近い便利さに単なる通過地になるのでは、という不安が囁かれている。今治は、かつて伊予の国府が置かれた歴史の町。市内には四国霊場88番札所のうち54番から59番まで6ヵ寺ある。
  松平3代の藩主をまつる墓所は報恩の心を大事にする人達で見事に手入れされ市民の静かな憩いの場所となっている。その昔、勇名はせた来島水軍の根拠地、来島。海峡の急潮が作り出す大渦などを一望する波止浜公園など見所は多い。名所の筆頭は今治城。その内堀は瀬戸内から海水をそのまま引き入れて市民の釣り場ともなっている。ときには、でっかい鯛も釣れるという。お堀に影を落としたお城の容姿はひときわ美しい。全国の約7割を占めるというタオルの主産地で、日本の有名な遊園地や主要航空会社のマ−ク入りタオル織機がフル稼働していた。また造船のマチらしく港のそばにシンボルの大きなスクリュ−が目についた。はて、これからどんなカジとりをしてくれるか・・・である。
 
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