NPO法人健康と温泉フォーラムは医療、環境、施設等、温泉保養地に関わるあらゆる分野における専門家を中心とした団体です。
名湯百選 名湯百選

鳴子温泉郷 なるこおんせんきょう

(鳴子)萎凋病 神経痛 リウマチ 皮膚病 循環器病ほか
(東鳴子)神経痛 リウマチ疾患 慢性消化器疾患 糖尿病 慢性婦人科疾患
(川渡)神経痛 リウマチ 脚気 慢性中毒症 皮膚病 病後術後療養
(中山平)高血圧症 動脈硬化症 慢性便秘 リウマチ 神経痛ほか
(鬼首)胃腸病 リウマチ 神経痛 慢性婦人病疾患ほか

<所在地>宮城県玉造郡鳴子町
<交通>
(鳴子)JR陸羽東線鳴子温泉駅からすぐ。古川駅からバスあり。
(川渡)同線川渡温泉駅から徒歩15分
(中山平)同線中山平温泉駅徒歩5分
(鬼首)同駅からバス40分
<泉質>
(鳴子)単純泉・重曹泉・含塩泉・硫酸塩泉・硫黄硫化水素泉
(東鳴子)重曹泉・単純硫化水素泉・含食塩芒硝重曹泉ほか
(川渡)含硫黄、ナトリウム炭酸水素泉
(中山平)単純硫化水素泉・単純硫黄泉・重曹硫化水素泉・含芒硝重曹硫化水素泉
(鬼首)単純泉・食塩泉・硫化塩泉

温泉療法医がすすめる温泉 山内祐一
(東北大学教養部教授/東北労災病院心療内科/健康科学/心身医学/医学博士)

多彩な表情の、奥州“玉造の湯”
今から1100年ほど前、静かだった森が突然けたたましく鳴動し始めた。激震は数日間も続きあちこちから熱湯が噴き出した。火山活動で作られた郷なので"鳴郷"と呼んだ。また一説には、源義経が鎌倉に追われて奥州平泉に逃れる途中、側室北の方が男の子を産んだ。しかし産声を上げない。そばの温泉で産湯を使ったら元気な声で泣いた、それで唏子(なきご)、鳴子と名がついた。共になるほどと思われる名前の由来伝説である。   鳴子の湯を、玉造の湯とも言った。その頃、水晶が豊富に採掘され、上質の水晶玉が朝廷に献上して珍重された。水晶玉の産地ということからの呼び名のようで、鳴子町の地名は今も玉造郡である。古い歴史をもつ川渡(かわたび)をはじめ、鳴子、東鳴子、中山平、そして少し離れたところに鬼首(おにこうべ)など俗に鳴子8湯と言われる多彩な表情をもった温泉郷である。

泉浴は楽しみながらの健康増進
温泉は大まかに11種類の泉質に分類されるが、鳴子にはこのうち9種類ある。これまでは観光の一泊宴会型の宿泊が主流で、温泉なら何でもいい、といった遊び場的考えが強かったが、次第に"本物志向"が求められて変ってきている。「健康が一番大事ということに気付いたからで、高齢化と余暇時代に入って益々この傾向は強くなる・・・・・・」と推薦医の山内先生は、さらに次のように話をしてくれた。「近年、温泉のパンフレットが変ったね。"正しい湯治のあり方"とか"入浴方法""湯治の効果を高めるために"など書かれていて喜ばしい限りである。食べ切れないご馳走を並べることより、   「お風呂にはこうして入ると効果がありますよ」と。ついでに朝の散歩を教えてやるのが心の通った本当のサ−ビスだ。家庭の風呂と違い、温泉の浴槽は大きくのびのび出来る。それに騒音のない周囲の自然環境が与える心理作用は極めて大きく、健康づくりの大切な場である。温熱のほか水圧、浮力、化学作用などが末梢循環をよくして筋肉を和らげ、心身共にリラックスさせる。減量にも役立つ。また温泉刺激は生体代謝、自律神経や免疫機能を活発にさせるから自然に病気予防につながるということになる。

あどけない無心の微笑み、こけしの魅力
鳴子は昔ながらのロクロを挽くこけし工人が軒を並べるこけしのふる里で、日本こけし館がある。「こけしの収集は鳴子に始まって鳴子で終る」と、こけしの伝統美を世に広めた深沢要氏のコレクションを中心に、あどけなく無心の微笑みを秘めた素朴なこけし約5,000本が展示されている。お腕類の木地業を営む山男達が、里のわが子のために木を削り顔を書いて人形を作って与えたのが始まりとか。   江戸末期から雪深い東北地方の温泉地を中心に育まれてきた。こけし工人は師から弟子へ、厳しい徒弟制度の中で感覚的に受け継がれ、原木の選定から色付け顔の仕上げまで、すべて1人で作るのが原則である。鳴子こけしは胴が太くて安定感があり、写実的な菊やかえでの模様が多く、絵模様は作者で決まっているいわば紋どころ。

頭は、はめ込み
式で首を回すとキイキイ鳴くのが特徴である。見る人の、その時の心で喜びや悲しみの表情に変る不思議な魅力をもっている。鳴子郷は奇岩名称の地で、山の木々が一斉にモスグリ−ンの新芽を吹く初夏と秋の紅葉が素晴らしい。ふる里創生事業で新築したギャラリ−シアタ−付きのモダンな鳴子駅"ナイス"から車で約30分のところに鬼首温泉がある。その昔、東征の坂上田村麿呂が朝廷に刃向かう土豪の首をはねた故事がその名を由来、   朝廷に対する抵抗者はすべて鬼だったようだ。この地方では珍しい、間つけ泉が噴き上げている。町と大手企業の第3セクタ−で、ヤングからファミリ−まで楽しめる高原の健康ランド"小さな国"が誕生。過疎化にストップがかかった。雄大な眺めと、海のような広い緑の草原、冬はスキ−場となってゲレンデファッションの華が咲き、"東北のチロル"と呼ばれている。
 
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