NPO法人健康と温泉フォーラムは医療、環境、施設等、温泉保養地に関わるあらゆる分野における専門家を中心とした団体です。
名湯百選 名湯百選

湯涌温泉 ゆわくおんせん

(浴用)神経痛 筋肉痛 関節痛 創傷 火傷 慢性皮膚病 慢性婦人病 動脈硬化症 病後回復 疲労回復
健康増進 虚弱児童ほか
(飲用)慢性消化器病 慢性胆のう炎 胆石症 肥満症 糖尿病 痛風など

<所在地>石川県金沢市湯涌温泉
<交通>JR金沢駅からバス40分
<泉質>ナトリウム・カルシウム−塩化物・硫酸塩泉

温泉療法医がすすめる温泉 野原聖一
(金沢大学医学部助教授/公衆衛生学 末梢循環 健康管理
 地域保健 労働衛生コンサルタント/医学博士)

いいとこ見つけた加賀のの隠し湯
薬草の宝庫と言われ、金沢の人達の健康を守ってきた、その名も医王山(いおうざん)の山懐に抱かれた静かな環境。ほんのり湯の香りが漂う健康リゾ−ト・ゾ−ン。これが湯涌温泉である。傷ついた一羽の鷺が飛び立った、その跡に湯が湧いていた。また白山を開いた泰澄大師が発見したとも伝えられ、開湯の祖として大師自作と言われる薬師如来像を祀ったお堂がある。いずれも遥か昔のことだが、   藩政時代は加賀百万石前田藩主の隠し湯治場であった。夢を求めて生涯さすらい人生をおくった、大正ロマンの詩人で画家でもあった竹久夢二が長逗留していたことで世に広まった。三方山に囲まれて冬暖かく、夏は涼しい。このことから金沢の軽井沢と言われ、賓客をもてなす奥座敷的存在。金沢でホテルがとれず、湯涌を知って「いいとこ見つけた」と素朴な味わいのある雰囲気が受けている。

病気は待ったなし。だから自分で守れ
湯涌温泉の伝統行事"氷室(ひむろ)の日"に金沢大学医学部を訪ねて、野原先生に湯涌推薦の弁を聞いた。江戸時代から氷室の節句〈旧暦6月1日〉があり、加賀藩では毎年氷室に蓄えた白山の雪を将軍家に献上していた。これが庶民の間に広がり、夏越しの体力を養うため麦饅頭を作り"氷室の饅頭"として一般家庭で、また嫁入り先や親しい人に届けたり、会社商店では従業員に配る風習がある。氷室はいわば夏に備えた雪氷の冷蔵庫。夏バテ防止、健康第一を思いやる庶民の願いをこめた知恵である。北陸には有名温泉地が数多くあるが客のほとんどはあちこち引っぱり回されて、温泉に泊まって帰るという一泊観光型。それも結構なのだが、楽しい旅行も元気だから出来る。元気と病気はたった一字違いだが、この一字は天国と地獄の差。温泉は地獄の病気にならないために利用してほしいと申し上げたい。人間いつかは年をとり高齢化社会の仲間入りをする。そして次に来るのは病気。大半がいわゆる成人病で、高血圧、心臓病や脳血管疾患が多い。これは共に血管がもろくなって起こる病気だから、のんびり温泉に浸って血行をよくするよう心掛けたらいい。年に1回2、3週間の湯治でグンと若返る。  

今の高齢化老人福祉事業は、残念ながら病気になった人達が主な対象になっている。病気は待っていてくれない。だから自分の健康は自分で守る―ということに早く気付いてほしいと常々思っている。この点、湯涌は昔の湯治場形態が残っている。新しく温泉団地も出来ているが、共々健康志向を目指していることは嬉しい。1〜2泊の客に交じって長期滞在で、じっくり"充電"している年配者が多くなったと聞いて正にわが意を得たりと思った。前田の殿様が、元気回復の湯治をしていたところである。みんな殿様に見習おうじゃないか・・・・・・と言いたい。


杜の都金沢の顔、兼六園
"夢二の宿"からカラコロ下駄履きで、ちょっとの所に玉泉湖がある。南欧風のコロニアル様式を取り入れた湯涌の代表ホテルが、湖面にエキゾチックな美しい姿を映し山の緑に鮮やかな朱塗のあづま橋が見事に調和している。ワラ葦屋根の氷室もここにある。少し離れた所に封建制度の武家屋敷や町人文化の明暗二相を往時の建物で表わした江戸村や、国指定の重要文化財など加賀伝統工芸の製作用具約1万点を展示した檀風苑は、先人の知恵が凝縮されていて一見に価する。   金沢と言えば名勝兼六園。広さ11万5000平方メ-トル、約150種、12,000本の樹木は、杜の都金沢の顔である。最も大きい霞ヶ池の徽軫(ことじ)灯篭は兼六園のシンボル。灯篭の脚が琴の糸を支える形をしているのでその名がついた。子供を連れた雁一家の飛行姿を表わした雁行橋。また園内の高低差を利用した噴水は、日本最古のもの。"宏大・幽邃・人力・蒼古・水泉・眺望"の六勝を兼ね備えた名園ということから兼六園と名付けられた。
 
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