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日本の温泉地再生への提言 [8] -第1グループ 旅館・温泉地リーダー

温泉地再生のあり方

杤本 正明
(湯ノ山温泉)株式会社萬代 取締役会長


1.温泉利用のあり方

 歓楽型の温泉の多くは影をひそめ、湯布院、黒川温泉に代表される一度は行きたい温泉地の台頭、豪華な露天風呂と料理でお客の心をつかんだ温泉、有名観光地の新温泉掘削、従来型の「温泉一泊ドンちゃん騒ぎ旅行」は数少なくなり、熟年のフルムーンやOLの豪華リッチ温泉ツァー、家族での小旅行に代表されるように個人の需要がこれからの温泉利用の多くを支えて行くと思われる。温泉利用の原点に立ち返り、癒しのスペースとしての利用促進が、鍵となるのではないかと考えます。
 滝や河川のマイナスイオン効果やオゾンいっぱいの森林浴などと、地元のスローフードの提供などのように、今までの温泉湯治場にはなかったエステ等の導入による、新しい癒しスペースを提供、現代の癒しスペースとしての温泉利用が増えて行くように感じられる。これは都市型の「スーパー銭湯」がもてはやされるのも疲れを癒したい気持ちが「スーパー銭湯」に足を運ばせていることからも想像できる。言い換えればこれは仮想現実の温泉であり、本来の「癒しヒーリング」が街中の「スーパー銭湯」だけでは満足できない人々は、これからも温泉地に足を運ぶだろう、その時に温泉側の受けいれ体制が出来ていなければならない。
 昔のような湯治場を現代風にアレンジし長期滞在にも耐えうる宿泊施設の提供も必要ですし、長期の滞在に退屈な時間をなくす為の、カルチャー倶楽部など、本来の湯治温泉とは少し趣を変え、治療ではなく健康づくりへの変化、心身ともに健康であっても、癒しのスペースとして、また健康増進の為の温泉利用を促す事が重要と思われます.


2.街並整備周辺環境保全 温泉地の環境整備

 近代化のビル建物が乱立した温泉街の環境整備は急務であり各自治体観光協会などとも協力しその温泉地が持っていた魅力を再確認し前面に打出す施策の提案をする。廃業した宿泊施設、料飲店などの管理など、地域全体での景観を含め、訪問客にも施設以外の温泉街としての魅力も大切な要因になる。訪問客はそれぞれに温泉地のイメージを持って訪れる、その温泉地の統一イメージの構築も必要であろう。環境保全についても地球規模の環境保全が叫ばれる中、最重要視しなければならないものです。


3.長期滞在の方策

 余暇時間の増大、熟年層、高齢者の増加などこれから長期滞在の要望は増える可能性は大です、たとえば息子夫婦が海外旅行に行っている間、料理等の心配も無いホテルに逗留しいるとか、今までには無い長期の利用が発生している。これからの高齢者利用を考えるときに個々の宿泊施設においてもバリヤフリーは避けて通れない課題です、それに伴うヘルパーなどの養成も必要と思われます。高齢者に対する長期保養に対しても保険の適応が出来るとか補助が行なわれるなどの方策なども必要かと思われます。又、高齢者対策とは逆に若いSOHOに対応した無線LANなどのIT完備も必になるのかもしれない。


4.温泉地活性化国自治体への施策

 活性化の一つとして、地域イベントの掘り起こし、今までの伝統的なお祭り(イベント)も重要な物です。
 今までは誰も見向きをしなかったお祭りが少し告知の方法や内容を変更しただけで大きなイベントに成長した例も少なくありません、何気ない日常の事が都会から見ると,大変ユニークで面白い物も有るかも知れません。
 地域の特色を打出したイベントの企画も含め地域の活性化に当事者である我々も自治体も地域住民も大いに企画参画できるような機会の提供を望む。 国や自治体に置いては全て横並びの施策方策を押し付けるような事はしないでその地域独自の施策提案をお願いしたい。
 便利になる事が即集客になる場合も又その逆に不便だから行きたいと思う客もいる、全てが全国同じである必要もまた同じにする必要も無いのです。


5.その他

 「ゆっくりしたいね」と切り出せば100人中95人ぐらいは「温泉入ってゆっくりしたいね」と答えが返ってくるほど日本人は温泉好きです。温泉見込み客は一億二千万人です、これに海外からの集客を加えれば,莫大な数です、温泉は湧いています!見込客もいます!これを繋げる何かが…・・
 温泉地の受け入れもかつては、十人一色で良かった対応もこれからは各個人に向け満足の行くサービスの提供も重要な課題となるでしょう。


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