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平安時代の医学書にみる「洗髪と入浴について」 |
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●984年、丹波康頼が著した日本最古の医学全書とされる『医心方』のページをめくってみました。 昔の人がいかに健康保持のための努力をしていたかを、かいま見ることができ、興味深いものがあります。 なお、本レポートは「医心方にみる美容」槇 佐知子 編・訳(ポーラ文化研究所)より引用させていただきました。 |
●「せんきんほう千金方」(随・唐の書より) |
○家のなかでだびたび洗髪や入浴しようとしてはいけない。 必ず密室を用いること。 浴室は熱すぎても冷えすぎていてもいけない。 熱すぎても寒すぎてもさまざまな病気の原因となる。 冬は洗髪の際、汗を出さないようにすること。 洗髪や入浴のあとで冷たい風に触れないように注意すること。 空腹時には入浴を禁じ、満腹時には洗髪を禁ずる。 入浴後は少々の飲食をたしなんでから室外へ出ること。 ○熱い洗髪剤で頭を洗い、冷水ですすぐと頭痛を起こす。 満腹時や空腹時に洗髪しても頭痛になる。 夜、洗髪し、何も食べないまま寝ると、精神状態がうつろになり、寝汗をびっしょりかいたり、たくさん夢を見たりする。 ○道教の人は、齋戒するときにあららぎ蘭や菊の花のお湯で洗髪、入浴する。 そうすると長生きする。 ○いつでも晦日に洗髪し、一日に入浴しようとすること。 ○夫婦は同じ日に洗髪、入浴してはいけない。 ○洗髪後、すぐに髪を風に当ててはいけない。 湿った髪を結ってはいけない。 湿った頭のまま寝てはいけない。 このようなことをすると、頭痛や目まい、脱毛症、シミなどになったり、耳が聞こえなくなったりする。 |
●「ようじょうようしゅう養生要集」(後漢・魏・随・唐の書より) |
○何度も洗髪や入浴をしようとしてはいけない。 洗髪や入浴は血脈を動かすので、外気を体内に引き込むからである。 ○正月十日の八時から九時の間、二月八日の黄昏時、三月六日の日没時、四月七日の午後二時過ぎ、五月一日の昼頃、七月二十七日の昼食時、七月二十五日のお八つ頃、八月二十五日の日の出時、九月二十日の朝、鶏が三回鳴いた時、十月十八日の一番鶏が鳴いた時、十一月十五日の夜中過ぎ、十二月十三日の夜中、そして閏月に日が半分沈んだのを見た時、洗髪、入浴すること。 神の加護や恩寵を得て、すべての病気を除く。 ○いつでも春の三ケ月間は朝、菊の芽生えを入れた湯で洗髪し、夏の三ケ月間は朝、菊の茎の湯で洗髪し、秋の三ケ月間は菊の花の湯で洗髪し冬 の三ケ月間は菊の根の湯で洗髪すること。 常に陰の日に洗髪、入浴すると、寿命を三百年延ばす。 これは服用せず、ただ入浴するだけの場合だが、服用すれば寿命は、果てしないほどである。 |
●「ほうぼくし抱朴子」(戦国時代の書より) |
○月がとうせい東井に宿る日に洗髪、入浴すること。病気にかからなくなる。 ○だいたいにおいて、人はいつも正月三日、二月三日、三月六日、四月八日、五月一日、六月二十一日、七月七日、八月八日、九月二十日、十月八日、十一月二十日、十二月三十日に枸杞を煮た湯で洗髪、沐浴すること。 肌の色艶をよくし、八、九十でも顔色は若いひとのようである。老いることなく、病気にもかからなくなる。 |
●「えんじゅせきしょ延寿赤書」(唐・宋の書より) |
○かのえね甲子の日やついたち朔日になったら、必ず洗髪、入浴すること。 |
●「ちんちゅうほう枕中方」(後漢の書より) |
○十一月十日に洗髪や入浴をしてはいけない。 |
●「せいぎゅうどうし青牛道士」(魏の書より) |
○髪を洗ったばかりでまだ乾かないうちに寝てはいけない。 頭が重くなったり、熱が出たり、頭痛やノイローゼになり、精神が鬱積したり胸がつかえて苦しくなったりする。 |
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