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いろはにほへと(其の参/四) ■ 切山椒(新年) 正月用の餅菓子であり山椒の実を炒ってしみ出させた汁をまぜてある。 ほのかな山椒の香りが好まれる。 かみしめて切山椒も香ぞあまき 立子 ■ なずな(新年) 正月のななくさ七種のひとつでありペンペン草、三味線草ともいわれる。 山野草の若芽の香りを楽しむ。 ほとばしるも顔に匂へるなずなかな 其角 ■ 春の暮(春) 情感漂う春の暮れ、香を焚くのも風情がある。 春の夕たえなむとする香をつぐ 蕪村 ■ 春の闇(春) 闇のなかに花、草木の甘い香りがたちこめ心地良い。 病院のユーカリにほう春の闇 草田男 ■ 薫 風(夏) 若葉や若草のかぐわしい香りをさし風薫るともいう。 風薫る羽織は襟もつくろはず 芭蕉 ■ 螢(夏) 青緑色に光る螢をつかみ手のひらに入れるとグリーンな香りがしてくる。 螢くさき人の手をかぐ夕あかり 犀星 ■ 新 米(秋) 香りもよくまっ白なとりたての新米は神棚に供え実りを感謝する。 新米もまだ草の実の匂ひかな 蕪村 ■ 冬 服(冬) 冬用の服をはじめて取り出した時の匂いは誰もが記憶にある。 冬服や夫の匂ひのほか知らず ふさ子 ■ 葛 湯(冬) 葛粉をお湯に溶き砂糖を入れて飲めば香りたかく体も温まる。 うすめても花の匂ひの葛湯かな 水巴 |
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