NPO法人健康と温泉フォーラムは医療、環境、施設等、温泉保養地に関わるあらゆる分野における専門家を中心とした団体です。
海外温泉ニュース バックナンバーへ


自治体主導の健康増進温泉施設Limes-Thermen Aalen
リーメステルメアーレン(ドイツ)




■アーレン市

アーレン市はドイツの南部、ミュンヘンから約110マイル離れたバーデン・ヴィルテンブルグ州の8番目の町。紀元後150年から250年の間はローマ軍の要塞がありおよそ1000人のローマ兵が駐留していた。町は13世紀に建設され、人々は主に農業や工芸等で生活していた。現代のアーレン市はシュトットガルトの自動車産業をサポートする関連産業やカールツアイス等光学関連企業が集積した人口6万3千人の工業都市となっている。

■「リーメステルメアーレン」施設
ドイツ南部には数多くの温泉地があり、中には100年もの歴史を持つものもある。アーレン市には温泉はなく、もっとも近い温泉地でも70km離れていた。1977年に市役所のアマチア地質学者がアイデアをだし、1979年温泉の掘削に成功し、36.4℃の鉱泉が毎分438リットル湧出した。分析の結果カルシウム、ナトリウム、硫酸塩泉で、1リットル中約3,500ミリグラムものミネラルが含まれていた温泉であった。(ドイツでは20℃以上が温泉水と分類されてる。)さっそく市役所を中心に事業計画が立案された。1980年にフルブライト大学に依頼した報告書が提出され、温泉水はカルシウムイオンと硫酸塩を含むという点でイタリアのキアノキアノ、フランスのヴィッテル、イギリスのバース、スイスのロイカバードに匹敵する温泉で、慢性リウマチ、運動機能障害や手術後のリハビリに効果があることが明らかになった。同年、100ページにわたる計画書は市議会に提出され、アーレン市の経済・観光開発から、健康増進、福祉政策まで広範囲な検討がなされた計画が煮詰まり市議会も計画推進を決定した。建設家のコンペと言う形で、近代的建設とローマ時代様式がみごとに調和されたデザインが採用された。運営は市が運営機能を行い、市民が株を購入するという形で民間会社を設立することになった。この試みは当時のドイツでも画期的な官民一体の「ジョイントベンチャー」となった。
こうして設立された「リメステルメ」はアーレン市が50%、残り50%が1,500人の所有となった。こうしてアーレン市は、一日平均850人の利用者を数える「リメステルメ」を契機に、一躍産業の町から健康観光の町として、発展することになった。1995年には併設ホテル施設、とクリニックが、2001年には周辺の遊歩道や公園等が整備され、温泉施設による地域振興と健康増進の先進モデルケースとして、日本を始め世界から多くの視察団が毎年アーレン市を訪れている。
■問合せ先
■Limes-Thermen Aalen
Osterbucher Platz 3 73431 Aalen
Tel: 07361) 94930
Fax:(07361)949330



バックナンバーへ


HomeColumnOn-LineFileSearchSite map




NPO法人健康と温泉フォーラムについてのご意見、ご感想をお寄せください。