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旅行作家 竹村 節子氏がお薦めする
"癒しの温泉" シリーズ  第12回

竹村 節子 竹村 節子
温泉雑誌の編集者を経て旅行作家へ。現在は、(株)現代旅行研究所の専務取締役。旅行雑誌、婦人雑誌などへの執筆も多く、講演も行う。温泉に関する著書多数。全国の温泉地をつぶさに周り、各地とのネットワークも広い。



霊峰月山の中腹で秋の味覚を楽しむ
月山志津温泉(山形県)

今年の夏は近来まれにみる猛暑だった。ところが一朝にして冷涼な秋の訪れ。富士山 の冠雪を見るという激変ぶり。季節の変化も社会同様に変化が激しい。 そんな折り出羽の国、出羽三山を背にする西川町をたずねた。例年だと10月に入れば 月山の頂きから紅葉が始まり、下旬には雪だよりも届くという。平成7年に水のきれ いな川ナンバーワンに選ばれた寒河江川が町中を流れる西川町は、出羽三山の登山口 として栄えてきた。行者宿としての歴史を刻む宿が点在し、この季節は山採りキノコ の旬でもある。間沢の出羽屋では蕎麦とキノコ料理を組み合わせた月山山菜そばを売 り物としているし、川畔の玉貴では清流を眺めながら川魚と西川牛を加えた山菜とキ ノコの懐石料理を楽しませてくれる。
宿泊したのは湯殿山の登山口にある月山志津温泉つたやという宿。


不勉強なことに温泉名も知らなかったが、実は平成元年に五色沼の辺に掘り当てた食塩泉だった。PH も7.6で実にやわらかいお湯である。「変若水の湯」と書いて「おちみずのゆ」と読 むが、これは「若返りの湯」の意味。「日頃のおつかれをとり、新たな明日へと心身 共に若返って頂けることを」との館主のメッセージが玄関に掲げられている。館内は パッチワークのタペストリーが壁にかかり、読書コーナーが作られ、渡り廊下には五 色沼を眺めるベンチとテーブルが備えられているなど民芸調で統一。一泊では惜しい リゾートムードだ。
風呂場は別棟で湯気抜きの窓まで25mはあるという吹き抜き天井がゆとりの空間。太 い梁が渡る。十和田石の床に木造りの湯舟。その底と踏み込みの段が簀の子になって いるのがいい感じ。大きな窓からは五色沼が見える。外に石で囲った露天風呂が付い ているが、3〜4人で満員という小さなもの。しかし乳色の霧に煙る立木を眺めながら の入浴は幻想的だった。食材は山菜・キノコがメインとなる。特に朝食が良い。青豆 納豆に赤コゴミの油炒め、切干大根のはりはり、寄せ豆腐、塩鮭、モダシと豆腐の味 噌汁。こんな朝食だと身体もしゃんとする。



食後に近くの県立自然博物園へ。ガイドの案内でブナの純林を1時間ほどトレッキン グした。月山の伏流水が湧く泉がコース途中にあり、ブナの落葉や根っこに浄化され た冷たくてまろやかな水がこんこんと湧いている。久しぶりで思い切り飲む。身体の 中から月山の自然に染まる気分で。歩けない人は国道112号沿いの月山名水館へ。月 山の水を使って地ビールを作って販売しているから、ビールでたっぷり月山の自然を 楽しもう。




所在地/山形県西村山郡西川町大字志津
交通/山県新幹線山県駅から鶴岡・酒田方面行き高速バス(8:22、10:02、12:32、 14:47)利用で月山入口下車、シャトルバスに乗り継ぎ志津下車
宿/変若水の湯 つたや
TEL0237-75-2222 1泊2 食付き13,000円〜。一人泊14, 000円〜など12軒
施設/
出羽屋:TEL 0237-74-2323
玉貴:TEL 74-2364、
県立自然博物園:TEL 同 75-2010
月山 名水館:TEL 同 74-2100
問合せ/西川町商工観光課:TEL 0237-74-2111 http://www.town.nishikawa.yamagata.jp/
 
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