東シナ海の夕日に染まって入浴!
陽の岬温泉
12月中旬ともなると、半島一帯がスイセンの香りに包まれる野母崎は、長崎県の最南端、東シナ海と天草灘を振り分けに伸びる半島である。
長崎市街からバスで1時間ほどだが、
「小学校の時に遠足で行ったことがあるくらい」
長崎育ちの友人が懐かしがるほどの「秘境」でもある。先端に樺島というカラスミの名産地があり、食通なら「野母崎」と聞いただけでカラスミを連想するほど。昔から「越後のウニ、三河のコノワタ、肥前のカラスミ」といわれた三大珍味の一つ。
樺島では今でも冬場、天日干しで作られており、風のよく通る路地裏にネットで囲んだ干場が作られ、見るからに美味そうな大きなボラの真子(卵巣)が並んでいる。網で囲うのは防猫のため。干し仕上がる前にいただこうという子猫から老猫までが、干場のまわりの物陰に潜み網のスキをうかがっている。そんな佇まいも漁村らしく長閑に見える。村のまん中にある井戸には、ひと抱えもある巨大な胴をもつ大うなぎも住み、名物となっている。
野母崎の中心にある丘陵に、14万株のスイセンを植えた水仙公園。これを背にして13年7月にオープンしたのが野母崎海の健康村。
第3セクターの公営の宿だが、客室19室のうち5室がバリアフリー対応の洋室。車椅子で十分動ける部屋の広さも確保されている。 トイレと一体型のバスルームも非常通報用ボタンが2ヵ所に設置され安心して利用できる。
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大浴場は日帰り入浴施設としても使われており、カルシウム成分が濃厚な重曹泉が開発されている。大浴場までの床はフラットだし、浴場用の専用車椅子も用意されているのには感心。洗い場もひとり用のブースとなっているので、身体の不自由な人も自由に身体を洗えるはずだ。天井が高く、二方をガラス張りにした大浴場で、女性用は小松を植え込んだ庭を前に目隠しが施されているが、男性用は窓外にそのまま東シナ海が開ける。広々とした海上に高島や軍艦島(端島)が浮かぶ眺めは雄大。特に落日の見られる日は浴場内まで黄金色に染まり、湯船も黄金のさざ波。この美しい地球に生まれたことを嬉しく思えるひとときである。自慢料理は一本釣りした野母んアジ。26cm以上ある大物で、姿造りが最高だ。冬場はヒラメも旬。刺身にして味わいたい。
所在地/長崎県西彼杵郡野母崎町野母692-1
交通/長崎本線長崎駅から野母崎・樺島行きバス1時間運動公園前下車、徒歩10分、送迎有り
宿/野母崎海の健康村 095-893-1133
1泊5000円、夕食2500円〜5000円、朝食1000円。
1泊2食付き(四季彩料理)1万1000円。
いずれも税別サ込み料金
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