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旅行作家 竹村 節子氏がお薦めする
"癒しの温泉" シリーズ  第17回

竹村 節子 竹村 節子
温泉雑誌の編集者を経て旅行作家へ。現在は、(株)現代旅行研究所の専務取締役。旅行雑誌、婦人雑誌などへの執筆も多く、講演も行う。温泉に関する著書多数。全国の温泉地をつぶさに周り、各地とのネットワークも広い。



手の湯・足の湯でリラックス
駒の湯温泉(静岡県)



 最近、全国的に足湯が大流行を見せている。着衣のまま足だけ温泉に浸けるだけで身体が温まり気分爽快になる。手軽に温泉体験ができることが人気の源なのだろう。



 伊豆半島入口、三島市郊外の駒ノ湯温泉を訪ねると、玄関前に「手の湯・足の湯」のコーナーが作られていた。これは感激である。もう10年ほど昔になるが肥満解消に熱中したことがあって、「これなら痩せる」というものがあると片端から試してみたものである。長続きしないこともあって、無駄な努力となってしまったのはいうまでもない。ただその中で唯一、温泉旅館を持っていたらすぐにでも作って痩せたい人たちのために役立てたい、と思ったのが鉱石湯を使った手の湯・足の湯だった。楕円形の浅い浴槽にぬるめの湯が二段に循環していて、手と足を浸して40分ほど、BGを聴きながらうとうとしていると、ガウンがびっしょりになるほど汗をかく。ヘルスメーターは確実に1〜2kg減っていて嬉しくなったものだ。湯を沸かす必要のない温泉でこれを再現すればきっと女性客が増えるだろうと、2,3の宿に勧めたが、今ほど健康や保養に興味のなかった時代だったせいか、鼻先で笑われただけで終わったものだった。

 
 その思い入れの深かった手・足の湯がなんと目の前に作られている。ニュアンスは少しちがうものの原理は同じ。足の湯は「うたたねの湯」、本や新聞を読みながら足を浸けておくと冷え性や腰痛に効果があるという。手・足の湯の方は「あたため手」といい、肩凝り、首の凝りに効果を上げるのだそうだ。屋外なので着衣のままの入浴となるけれど、もう桜の便りもちらほらという伊豆半島だから、寒いという心配もなくゆっくりと楽しめる。この風呂の考案者は社長の高橋誠さん。「足湯があるんだから、手の湯があってもいいんじゃないか、と単純な発想からです」と謙遜するが、元々が北里大学で薬理学を学んだ専門家。身体に良いことは百も承知の発想だった。以前から内湯や露天風呂の一部にも薬草を加えて温泉効果を倍増させている。肩凝りや筋肉痛に効果のあるハッカ、高血圧や冷え性によいクチナシ、神経痛や腰痛に効くヨモギやベニバナetc。帰宅してからも続けられるよう、袋詰めした持ち帰りの用意もある。宿泊する人の中で5名以上希望者があれば「入浴セミナー」も開いていて、入浴法と健康体操をインストラクターが指導しており夕食には日替わりで専任薬剤師推薦の本草料理を一品必ず出すのも特色だ。泉質はアルカリ性単純温泉38.8度で毎分209kgの湧出量がある。高橋社長の説によれば、一番身体を温めるのが低温の湯に長く入浴すること。
「温泉玉子の原理です。温い湯に長く入ることで芯があたたまる。身体に一番効果的な入浴法なのです」
 玉子の気分になって雑事を忘れてはいかが?。


所在地/静岡県田方郡韮山町奈古谷
交通/東海道新幹線三島駅から車で30分。または東海道本線函南駅から車で15分。
宿泊の場合は14時10分、15時40分に、日帰り入浴の場合は9時10分に送迎バスがある。
宿/駒ノ湯源泉荘 電話055-949-0309
1泊1名(トイレなし)7500円〜、2名(トイレ付き)7500円〜。
日帰り入浴は80分以内500円、120分700円。入浴休憩は9時30分〜14時で1000円
 
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