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竹村 節子 |
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代替医療と温泉活用を実践する 湯宿温泉(群馬県) 明治の文明開化以来、西洋医学とその進歩にともない漢方や民間療法的な分野が軽視される風潮が日本では強い。ところが医療先進地のアメリカでは漢方、鍼治療、指圧、マッサージにはじまり、ヨーガや太極拳、アロマセラピーにいたるまで代替医療としての効果を見直し、活用することで効果を上げはじめている。人間が「気持ちが良い」と思うこと自体が免疫力をアップさせる力を持っているからであるという。 群馬県三国街道沿線に1150年の湯歴を刻むのが湯宿温泉。三国峠の登り口に当たり、宿場町として栄えた時代もあったようだ。現在は7軒の小さな宿と、4ヶ所の共同浴場が民家の間に点在する県下でも小さな温泉地の一つである。どの宿も湯治滞在を受けており、宿泊料金も比較的安い。その中の一軒、大滝屋旅館も創業40年に近い客室8室という小さな宿である。バブル経済華やかなりしころ、大資本の宿には対抗できないことを悟った創業者の森下直さんは、二代目を継ぐ敬さんと相談。個性化を計るには「湯治場」の特性を生かすこと、と柔道に夢中だった跡取りに柔道整復師の勉強をさせた。平成11年にはその敬さんが技術と経験を積んで帰郷。宿も改築して湯宿接骨院を宿に併設すことになった。施療ベットが三台、カイロプラテック用ベットやスーパーライザーを始めとする施療機器も充実、温泉をひいた手足浴用の浴槽も設備してある。平成15年には群馬県の温泉アドバイザーの資格も取った。したがって入浴のアドバイスもお手のものだ。 |
「入浴により体温が上がると酵素が増加して血流が良くなります。血流が良くなって筋肉がやわらかくなることで痛みや緊張が改善される。これに整皮マッサージや指圧、機器による施療を施すので、高い効果が得られます」 と敬さん。無論外来患者にも入浴との併用を勧めている。温泉入浴と施療ができるとあって常連の宿泊客も増えてきた。発症原因がはっきりしていれば保健の適用も受けられる。まさに代替医療を地で行く宿である。しかも連泊できるよう宿泊料がべらぼうに安い。むろん安いだけに贅沢な宿泊は出来ないが、アットホームな料理が出されるし、ちょっと窮屈な風呂場に飽きたら町に4ヶ所ある共同浴場(100円)を利用すればいい。地元の人々との交流も楽しいものである。今は小さくても、こうしたところから日本らしいクア・オルトが生まれてゆく予感がして楽しみである。 住所/群馬県利根郡新治村湯宿湯宿温泉 交通/上越新幹線上毛高原駅から猿ケ京行きバス利用で20分、湯宿温泉下車 宿/大滝屋旅館 0278-64-0602 1泊2食付き5000円〜。2泊以上の場合は同4500円〜 湯宿整骨院は日曜日・水曜日午後は休診 受診の場合は保険証を持参のこと |
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