NPO法人健康と温泉フォーラムは医療、環境、施設等、温泉保養地に関わるあらゆる分野における専門家を中心とした団体です。
名湯百選 名湯百選

芦原温泉 あわらおんせん

神経系諸病、関節筋肉痛、胃腸病など

<所在地>福井県坂井郡芦原町温泉
<交通>JR北陸本線芦原温泉駅からバス20分、福井駅から京福電鉄30分
<泉質>弱食塩泉

温泉療法医がすすめる温泉 山口昌夫
(加賀八幡温泉病院院長/整形外科 リハビリテ−ション医学/医学博士)

変化する観光ニ−ズに新たな対応を
禅修業の根本道場、曹洞宗大本山永平寺。片や日本海の荒波が作り出した奇岩景勝の地、東尋坊という地の利を得ている芦原温泉は、福井県自慢の代表的な温泉地である。100余年前の明治の初め大干ばつに見舞われて井戸を掘ったら、お湯が噴き出した。これといった作物も穫れない、葦が生い茂るだけの湿地地帯が温泉出現で、さながらのお金を生み出す打ち出すの小槌になった。   何の変りばえもしない平地、何か特徴を持たせたいと京都などから、これぞという職人を集めて庭園造りを競い合った。昭和31年、町の大半を焼失した惨禍にあったが、心なごます美への探究は庭園に留まらず、豪華な数寄屋造りの建物に四季の風情を散らした趣向の大旅館が建ち並ぶ温泉地へと一大変身した。

病気は本人に治す気がなければ治らない
「芦原は遊び場で温泉地ではない」と極言する人たちも多い。永平寺詣りの精進落としの花街として栄え、一時は300人を越すきれいどころがいたという。歓楽型温泉地は、どこも多かれ少なかれ男の天国的色彩を残しているのだが、「芦原の温泉は芦原しかない。温泉といっても大事な地下資源。決して無尽蔵ではない。資源はいつかは枯渇する。お湯が止まったらオシマイなんだよ。温泉好きの人は多い。その人間の一番大事なものは健康である。となれば、温泉は健康のために使うことが一番いい・・・・・・」と、これからの"芦原丸"のカジとりを示唆してくれた先生がいた。船長さんと言いたい、その先生は加賀八幡温泉病院の山口院長である。早速話を聞いた。北陸は裏日本有数の湯どころで10人10色の面白い泉質を持っている。
どの温泉地もそうだが、それぞれの企業が思い思いのやり方でやっているので、とかくの事は差し控えたいが、温泉と泊りだけでは・・・・・・。飲み食いして貰わないと・・・・・・というのが大半の旅館で、高級志向で行くか、ウマイもの食わしてお金をとるか、そのどちらかで、中間ではダメと心得違いしているところが多いのは残念だ。私は医者だが「病気は患者本人に治す気がなければ治らない。医者はそのアドバイザ−に過ぎない」ということを、立場を置き替えて肝に銘じてほしい。
  芦原は地理的条件に恵まれ過ぎている。飽食時代になって糖尿病患者が増えているのと同じパタ−ンに見えて仕方がない。
芦原から東尋坊に向かう道すがら、高台に変った形の白い洋風の建物が目に入る。明治の初め日本海を往来した北前船の出船、入船で賑わった三国町のシンボル的建物で、現在郷土資料館。オランダ人が設計した木造5階建て8角形という奇抜な建物で、昔の小学校を模したものだという。館内には千石船の模型や金系銀系に象牙、ギヤマンを織り込んだ遊女の豪華な打掛け。また北陸三大祭りの一つ、勇壮な三国祭に繰り出す巨大な武者人形山車など港町の心意気が込められた数々が陳列されている。資料館近くに滝谷寺(たきだんじ)がある。歴代領主の崇信を集めた古刹で国宝、重文など文化財の宝庫。老樹の並ぶ参道を登ってたどり着く庭園は一見に価する。三国で忘れられない名物は、甘エビと越前ガニ。保存冷凍設備の普及で年中料理の一つになっているが、本当は冬の味覚の王者。寒い早朝に漁れたカニを丸ごと塩ゆでして熱いうちにかぶりつく・・・・・・。甘エビは天然のワサビ醤油をちょっと付けて、ピリッとくる辛さがエビのとろける風味を一層引き立てる。共に本場三国ならではの味である。
 
名湯百選


HomeColumnOn-LineFileSearchSite map




NPO法人健康と温泉フォーラムについてのご意見、ご感想をお寄せください。