NPO法人健康と温泉フォーラムは医療、環境、施設等、温泉保養地に関わるあらゆる分野における専門家を中心とした団体です。
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恵山温泉郷 えさんおんせんきょう

神経痛 筋肉痛 関節痛 関節のこわばり 痔疾 慢性消化器病 慢性皮膚病 月経障害 病後回復 疲労回復 健康増進など

<所在地>北海道亀田郡恵山町恵山・同郡椴法華村
<交通>JR函館駅からバス90分
<泉質>酸性含鉄・アルミニウム・硫酸塩泉。ナトリウム・塩化物強塩泉

温泉療法医がすすめる温泉 深瀬鴻一郎
(医療法人鴻仁会 深瀬病院理事長 日本芸術療法学会員 チャ−チル会会員/内科/医学博士)

ストレス解消の特効薬的露天風呂
北海道の最南端。海あり山あり温泉ありで、自然大好き人間なら見逃すハズがない。ほのぼの民話・伝説もいっぱい。ところは恵山である。
日本海と太平洋が津軽海峡で握手する、二つの流れの合流点が恵山の海。昔から海の幸に恵まれダイナミックに働く漁場の人達で熱気溢れる町だった。町のシンボルは、その名も恵山。ゴツゴツした山肌に、地球の鼓動を響かせる神秘の山。
  海をはさんで青森下北の恐山(おそれざん)と相対し、人それぞれ誰もが背にしている先祖を偲ぶ姉妹霊場である。温泉は恵山の麓が主泉源だが、海岸線一帯にも贅沢な湯量が自噴している。温泉地の一つ水無海浜温泉の露天風呂は、恵山をバックにした太平洋の波打ち際にあり、海との仕切りは石ころだけ、それを積んだり外したりして丁度いい湯加減にするという魅力いっぱい、野趣満点のものである。

ヤマセ〈東風〉の日は、交通事故が多い。
恵山温泉郷の推薦医は、安政年間から続く医者の家系を継いでいる函館の深瀬先生。「患者あっての医者、患者に精神的安らぎを与えるのが医者の役目・・・・・・」というのが先生のモット−で、函館湯の川にユニ−クな病院付属施設を作っていた。ぬる目の温泉と、やや熱目の温泉プ−ル。経済優先社会はそのままストレス社会ということ、また飽食に運動不足では成人病の予備軍を作っているようなもの。   幸いみんなお風呂好き、温泉プ−ルでは、ただ歩くだけでも水抵抗でかなりの運動になる。心に負担をかけないで何か好きなことに熱中させることはストレス解消につながる。このほかダンスや壁打ちテニス、バスケットも出来る運動ホ−ル、それにしっとり落ち着いた能舞台やアトリエなどのスポ−ツ・芸術療法室がある。変ったものでは長年取り組んできたという気象観測研究室があった。津軽海峡は東の太平洋方向に流れているが、それに逆行する東風〈ヤマセ〉が吹くと汐波が起こり、ぶつかり合う波の泡がはじける瞬間マイナスイオンが陽イオンに変化する。ヤマセがもたらすこの陽イオンが曲者で、神経をいらだたせ頭痛、神経痛、食欲不振、血圧上昇などの原因になる。函館はヤマセをまともに受ける地形にあるので、ヤマセの吹く日は交通事故が多い・・・・・・と注目の話を教えてくれた。

患者思いの、温泉・芸術療法
院長を息子に譲ったので、暇を見つけて好きな絵を描きに恵山に走る。恵山の海岸は自然のままで日浦洞門、また伝説、三太郎泣かせの岩など、どこも絵になる。それに普段の汐風は心地よく神経を休めてくれる。私が絵を書き始めたきっかけは、三岸節子の画集の一文です。「女学生時代から気違い扱いされ精神分裂症の診断で入院させられた少女が、私〈三岸〉の展覧会を見て絵を書くことを憶えた。1年後には鋭いデッサンを書くようになった。彼女の絵に対する思考力、人を観察する判断力は精神分裂どころか、真実を透視する天才の眼を持っていた・・・・・・。」   精神療法も絵画、音楽などの心理学的芸術療法がある。精神病で入院を繰り返していたある青年患者にテニスを教え、毎朝1時間一緒に汗をかいた。青年は2カ月で全治退院し職場復帰した。ほどなく青年はお揃いのテニススタイルでフィアンセと挨拶に見えた。嬉しかったね・・・・・・。ユニ−クな施設を作った訳を話してくれた。「奉仕の心に徹した父の姿を見てましたからね。」先生は10人10色と言われる患者思いのお医者さんだった。
 
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