法師温泉は国立公園内の約22haの地域で、そのうち18haほどが山林である。この山内には遊歩道であった斜面には昨年からニッコウキスゲ、キキョウ、リンドウ、ツツジなどの山野の草花が集められ、現在、自然文化公園造りが行われている。温泉宿は、大浴場、女性用の小浴場、本館、宴会場、宿泊棟からなる。大浴場は明治28年、当時上信越鉄道(株)に招かれていた英国人技師の草案に基づいて創られたと言われ、洋風の窓と和風の小屋組をもつ和洋折衷の建物である。各浴槽の床は大小の小石で敷きつめられ、各所から温泉が湧出している。多量の温泉の湧出する場所が大浴場の入口と、左手の壁沿いに2ケ所ほどあり、それぞれ大浴場と隣接の小浴場に導かれている。法師温泉は時代のニ−ズに合わせながら、様々な施設が整備されてきている。昭和47年には日帰り客や団体客のために、 |
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数奇屋造りの宴会場が、昭和56年には女性客用の小浴場が設けられた。法師温泉の収客人員は150人(39室)と小さいが、年間の宿泊客は3万人を越える。湯治客は減少したものの、2、3泊以上の滞在客は1割ほどあり、また固定客も多い。法師温泉ではかつての湯治用の客室棟を、キッチン付の茶の間と和室の2室をもつ客室からなる宿泊棟(法降殿)に建て直し、湯治場から“リゾ−ト温泉旅館”へと変化しつつある。経営者の岡村氏に今後の方針をうかがってみた。自然環境の保全、自然湧出する温泉の保護に留意し、健康づくりのための滞在客の誘致を行っていきたいとのことである。こうした方針から、具体的にはスキ−場跡地の公園化。宿泊棟の改築などを行っている。 |