NPO法人健康と温泉フォーラムは医療、環境、施設等、温泉保養地に関わるあらゆる分野における専門家を中心とした団体です。
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飯坂温泉 いいざかおんせん

神経痛関節痛 筋肉痛冷え症 五十肩運動マヒ 打ち身病後及び疲労回復など

<所在地>福島県福島市飯坂温泉
<交通>JR東北本線福島駅から電車18分、バス30分
<泉質>単純泉

温泉療法医がすすめる温泉 阪場(さかば)貞夫
(福島県立リハビリテ−ション飯坂温泉病院内科部長 福島医大リハビリ研究講師/内科
 中枢神経/医学博士)

日本ではじめてラジウムを発見した記念の地
みちのく東北は湯の里である。中でも飯坂は旅館数、また規模においても東北地方の温泉地ではダントツの地位を占めている。多くの歴史、伝統に彩られた磐梯吾妻、神秘の五色沼、高村光太郎、智恵子の安達太良山など魅力の観光地をバックにしていることから、どちらかと言えば物見遊山を兼ねた歓楽型温泉地になっているが、温泉療法の草分け的存在である東大医学部の   物療教授、真鍋嘉一郎先生が、日本で最初にラジウムを発見した記念の場所である。ラジウム発見は当時としてはビックニュ−スで、飯坂の名を一躍日本はおろか世界に知らせた。温泉街のシンボルである十綱(とつな)橋のたもとに、幸せな健康生活の願いをこめた、その記念碑が建っている。

自分の身体は、自分で守る心がけ
温泉街のはずれ、閑静な場所にある県立リハビリ温泉病院に阪場先生を訪ねて話を伺った。福島県は湯どころなのに温泉療法医はまだまだ少なく僅か9人ですが、うち4人がこの病院にいます。元福島医大教授で郡山の太田綜合病院前院長(現理事)吉田赴夫先生の全員門下生ですから、ラジウムを飯坂で発見した真鍋先生の孫弟子ということになります。病院の患者は土地柄からか、脳疾患が多く入院者180人のうち100人を占め、その半数以上が片マヒの後遺症を持っている。いわゆる成人病で、成人病という名は日常語になって自分は大丈夫・・・・・・と勝手に決めていて予防意識はまだまだ低い。一番大事なもの・・・・・・大黒柱のご主人は女房と答え、奥さんは主人と子供を挙げるが、病気になって初めて自分の健康が一番大事だったことに気付く。自分の健康なくして何の喜びがありますか、   家庭の幸せなどあり得ないのです。幸い本県は各主要都市に大病院があり医療の面では大変恵まれています。"自分の健康は自分で守る"そのための人間ドックもいいでしょう。病気になってあわてて病院に駆け込むのでなく、病気にならないために病院を利用すること。合わせて、のんびりゆったりの温泉保養をすすめたい。飯坂からちょっと車で5分のところに穴原温泉がある。キレイな渓流がそばを流れて空気が一味違う。また福島自慢のフル−ツ街道を走れば、こけしのふる里、土湯(つちゆ)温泉がある。"土湯十楽、飯坂九楽"とうたわれたほど泉質も重曹泉・硫黄泉・アルカリ性単純泉・硫化水素泉・炭酸鉄泉と多様。市郊外吾妻の麓の高湯温泉(硫黄泉)は、ひなびた温泉ながら湯量豊富。あたりの景色が素晴らしい。共に福島から程近く、飯坂とは趣を異にした健康基地である。

健脚・健康祈願の大わらじ
福島市街と飯坂のほぼ中央に古来出羽三山と強く結びついた信仰の山、信夫山がある。信夫三山焼詣りは、またの名を"わらじ祭り"と言い、毎年いてつく寒さの2月の暗夜に行われる。威勢のいい若者たちの手で山頂の羽黒神社に、長さ12m、巾1.4m、重さ2トンという日本一の大わらじが奉納される。わらじには豊作と災難防除、また足を鍛える健康の願いが込められている。参道中腹に"長生きの松"があった。無事三山詣りから帰って信夫山にお礼参りに登ってきたところ一本の松が切り倒されそうになっていた。松にも生命がある、三山詣りのこれも何かの因縁と命乞いして譲り受け伐採を免れた。樹齢約130年、松の霊は昇竜のように円を描いて空高く舞い上がっている。信夫山の一角にある岩谷観音は江戸時代のものと言われる33観音像と60余の供養仏が自然の岩に刻まれて心安らぐ場。   山全体が都市公園になっている。「みちのくの忍ぶもちずり誰ゆえに、みだれそめにし我ならなくに」小倉百人一首にも詠まれた虎女の悲恋伝説の信夫文知摺は飯坂からほど近い所にある。綾形石の自然の石紋に忍ぶ草の葉形などあしらって摺り込んだしのぶもちずり絹は、朝廷への献上品になるなど風雅を好む平安時代の殿上人らに珍重された。その文知摺石をはじめ東北地方に珍しい精巧の技を極めた多宝塔などがある。
 
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