カルルス温泉地は、付近一帯を含めた土地の99%を一人の地主が占めている。6軒の旅館はいわば店子で、地主は昔からの店子を守るため大手の進出を拒み続けて来た。旅館は増改築もままならず、これでは置いてきぼりを食うだけだと、ウラミ言葉もささやかれたりした。が、祖先伝来の土地をかたくなに守り通してくれたお陰で、何ものにも代え難い、いまの"自然"が残っている。登別市営の国民宿舎の支配人は、「俗化されない、この自然がカルルスの“財産”。料金収入は少ないが、それでも生き残る方法、それを考え出せばよい」と言い切る。高齢化社会と言われる時代、年金生活者にたとえ短期間でもゆっくりしてもらう。よそなら一日の料金のところ、カルルスなら3日は滞在できる。「ツムラのテレビCMでカルルスが全国に紹介された。意外な反響で |
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温泉の本場、別府からお客が来てくれました。自分の家の風呂にいれるんだと札幌あたりから、お湯を汲みに来る常連が、私のところだけで30人います。地主さんの協力で、旧小学校跡地にテニスコ−トやゲ−トボ−ル場を施設したスポ−ツランドが出来ました。すぐ近くではザリガニやクワガタも採れます。冬は国設カルルススキ−場が若者や家族連れで賑わいます。四国88ケ所巡礼のお遍路さんにヒントを得て、年齢や好みに合わせたカルルスならではの“お遍路遊歩道”を作りたいと思っています。健康づくりには歩くことが基本でしょう。すぐ近くに薬師寺神社や宝泉観音があります。数え切れない野鳥のさえずりを聞くバ−ドウォッチング、それに珍しい草花の宝庫です」と支配人はヒザを乗り出して熱っぽく語ってくれた。 |