温泉療法医がすすめる温泉|日本の名湯百選

勝浦温泉かつうらおんせん

千葉県勝浦市貝掛

泉質
重曹泉
適応症
  • 火傷
  • 慢性皮膚病
  • 慢性婦人科疾患
  • 関節リウマ
  • 神経痛
  • 神経炎
  • 病後回復
  • 疲労回復
  • ヒステリー
  • 慢性胃腸カタル
  • 胃酸過多症
  • 糖尿病
  • 通風
  • 腎臓結石
  • 膀胱結石
交通
東京からJR外房線勝浦1時間40分
谷津 三雄氏の写真

執筆: 温泉療法医

谷津 三雄

日本大学松戸歯学部教授 元同付属病院長 現同学部次長 日本歯科医史学会理事長/麻酔学/医師・歯科医/医学博士

勝浦温泉のツボ療法図

歴史と伝説に出会い、あとから健康がついてくる

「左手甲を上にして出して……」中指と人差指と薬指3本の爪先から第1、第2関節のところまで丸鉛筆型のボールペンでゴリゴリ転がした。「どこも特別痛くない。ウン、そうか。あんたは今のところ健康だ……。」谷津先生を訪ねた初対面がこれである。

「人間は誰もが老いと死から逃れられない。ならば“死ぬまで生きる”人間の権利を全うするためイキイキ生きる健康法を伝授しよう……」引きつけて離れられない巧みな話術は、お願いした約束の時間をとっくに越していた。

ツボ療法で、効果的な入浴を

現代医学は西洋医学が主流だが、薬害などの副作用が伴ってどうにも治りきらない患者が多い。医者である以上、患者に最善の方法をとってやるのが努め、そこで東洋医学のツボ療法を加味したら思いがけない好結果が出た。温泉も東洋医学、温泉のもつ温熱作用でツボを刺激すると、びっくりするほどの効果が現われる。足の裏は第2の心臓、手は第2の脳と言われ自律神経を調整する多くのツボがある。昔旅人が宿に着くと、先ず足を洗うたらいを持ってきた。当時はワラジ履きだから汚れた足を洗うのだが、ただそれだけではない。足の裏のツボを指圧しながら洗っていた。それで足の疲れがとれるという正に理にかなった先人の知識、即ち中国3千年の伝来のツボ療法である。温泉もただ湯にどっぷり浸ればいいというものではない。お風呂の縁にかかとを押しつけて入れば疲れが和らぐ。土踏まずや三里というツボを指圧したらなお効果的。ツボは“点”だが、お風呂で温まると点が“面”に拡がるので少々ツボから外れても効果がある。

身体のどこかに異常があると、その部分を流れている、内蔵や血管を支配している一種のエネルギーが乱れ、エネルギーが滞ったところを押すと痛みやこりがある。経穴(けいけつ)と呼ぶ関所で、そこをもみほぐして流れをよくするのがツボ療法だ……という。最近TVで、健康と美容に効果的な入浴法を生放送したら20%を越す視聴率を稼いだ。また一般向けに「6円手のひら健康法」というユニークな本も出した。「知らないよりは、知った方がよいからね……」と、人気さらに上昇中の先生である。

さあ、いんべゃあ……勝浦さ

房総は本州で一番早く春がやって来る。そこに首都圏では数少ない温泉、パークランド勝浦がある。東洋医学の温泉を西洋方式にアレンジしたクアハウスで、ヨーロッパスタイルの建物がしゃれている。温泉療法医の診断があれば、交通費から滞在費用一切が全額医療控除になる厚生大臣認定の健康増進施設に指定された。勝浦と言えば南房総でも傑出した海岸美の地だが、パークランドは海岸から小高い丘を一つ越えた閑静の地にあり取り囲む環境がすばらしい。バーデゾーンの打たせ湯、圧注浴、箱むし、サウナ、寝湯、運動浴の温泉プールなど16種類ものお風呂がある。若い女性に人気があって年配者もカラフルな水着で若返り、家族みんなが同じお風呂に入って日頃の苦労を洗い流している。専任のトレーナーがいて年齢体力に応じた運動プログラムの相談にのってくれるほか、自分の症状をプッシュすればコンピューターが入浴処方箋を出してくれる。

広い敷地には豊かな水と緑が溢れて森林浴、園内の川ではハヤ、ヤマメの渓流釣りも楽しめる。パークランドから少し離れたのどかな田園地に一軒宿の勝浦温泉がある。慶長年間の発見というから歴史は古い。浴用加熱の冷泉〈含重曹食塩泉〉だが病後や疲労回復によく、長期滞在の常連客が多い。海底の神秘を探る海中展望塔は東洋一と自慢の施設で夏は海水浴場。家康に見初められて紀州と水戸両徳川家の母となったお万は勝浦の出身。17歳の時炎上する城を後に弟をおぶって40mもある断崖から白布を伝って海路伊豆に逃れた“お万の布垂らし”。また戊辰の役で函館五稜郭の戦に熊本からの援軍を乗せた船が暴風で難破、210余人の犠牲者が眠る“官軍塚”日蓮上人の誕生寺と鯛の浦。フラミンゴの行川アイランド。孝女の秘話物語“おせんころがし”など見所は多く、400年も続いている“朝市”は今も賑わっている。