リウマチ専門病院の国立伊東温泉病院
リウマチ、温泉医学と温泉療養地学の大家、小嶋碩夫先生を伊豆の国立伊東温泉病院に訪ねてみた。この病院は昭和14年、傷痍軍人伊東温泉療養所として創立、戦後他の国立病院と同様に厚生省に移管され、国立療養所となり、昭和25年に国立伊東温泉病院となる。創立以来温泉治療を主軸としてきたが、治療の対象としてリウマチを早くから取り上げ、リウマチ患者が全国から集まるようになる。昭和32年には厚生省のリウマチ診療センタ−第1号に指定され、温泉療法とリハビリテ−ション主体のリウマチ専門特殊病院としてクロ−ズアップされた。その研究と治療の成果は高く評価され、今日に至っている。温泉を用いた水治療法室では、いつもどおりリウマチの患者が熱心に訓練を受けていた。歩行浴を行うプ−ルは大小2つで、水温は37℃。一回の入浴時間は約20分である。大きい方は三段水深で60〜110cmと浅く、障害度の軽い患者用。
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大股に歩いて積極的なトレ−ニングを重ねる。小さい浴槽の方はこれより重度の患者用で、より浮力をつけるため水深は130cmと深め。どちらのプ−ルも、温泉独特の浮力や温熱を利用した機能回復訓練を目的とする。当病院特注の水中トレッドミルも設置されている。速度の変化する床つきの水槽内を患者が歩行し、医学療法士が歩行姿勢や速度をチェック・矯正する。床ベルトの回転速度変化で歩行速度を調節したり、水深を80〜110cmに変化させたりと、患者ひとりひとりの状態に応じた矯正・チェックが可能である。リウマチ患者だけでなく、深く小さいプ−ルではムチ打ち症の牽引療法も行われている。これも他の病院ではあまり行われていない療法。患者の腰に体重の1/5ほどの錘をつけてプ−ル内に宙吊りに立たせると、温泉の浮力は錘の重力で相殺されて、固定された頸が牽引される。患部を温めながらやることになるので、筋肉が緩み、よりいっそうの効果が期待できる。 |