NPO法人健康と温泉フォーラムは医療、環境、施設等、温泉保養地に関わるあらゆる分野における専門家を中心とした団体です。
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南紀白浜温泉 なんきしらはまおんせん

リウマチ性疾患 神経痛運動器障害 痛風糖尿病 慢性湿疹および苔癬

<所在地>和歌山県白浜町
<交通>紀伊本線白浜駅からバスで5分
<泉質>含硫黄-ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉

温泉療法医がすすめる温泉 冨士正夫
(国立白浜温泉病院名誉院長 日本温泉気候物理医学会評議員 整形外科/リウマチ 振動障害)

健康づくりの先進リゾ−ト地。温泉を医療に取り入れた第一号

黒潮洗う"牟婁の湯"白浜
紺碧の海。そしてどこまでも青く澄んだ空―。

遥か水平線で、海と空が同じ色となって溶け込んでいる。

  南紀随一の景勝地と、地元の人が胸を張る白浜は、熊野連峰を背に黒潮が運んでくれた温暖の恵を、たっぷりうけている湯の街である。『日本書記』や『万葉集』に"牟婁の湯"として現われていることから、その歴史も古い。

クアミッテルハウスは、いま"燎原の火"の勢い
長く突き出た岬、美しく湾曲した白砂のなぎさが目に射る"白良浜"は一枚の絵のようだ。これを一望にする高台に、国立白浜温泉病院がある。日本の温泉史、温泉医療史に長くその名が記録させるであろう冒険が、この病院で試みられた。医療先進国のドイツなどで盛んなクアミッテルハウス(多目的温泉保養館)を温泉国ニッポンに初めて取り入れたのである。   「先生、これはいいですナ、身体がふわっと軽くなりました。」という患者の喜びの声は"燎原の火"となった。いま全国各地の温泉地はどこも客は頭打ち、行き残りをクアに求めてのクアブ−ムだが、日本での発祥地はどこであろう、ここ南紀白浜である。その生みの親は同病院名誉院長の冨士正夫先生で、温泉にかけた"情熱"のほどを聞いた。

温泉の性質をよく理解し、効果的に利用する
温泉は化学療法や外科療法と違って、お湯に浸ったらすぐ効くというものではない。また温泉がいいからと、やたらめったらただ入ればよい、というものでもない。温泉のもつ性質を上手に使い、正しく利用してはじめて効果があるもの。このためには温泉療法医という専門の先生に聞くことが一番手っとり早い。病気、ことに慢性疾患は、何十年もの長い間に積もり積もってできた身体のヒズミに対して起こるもの。それを治すには、よって来たる原因をさがして、そこまでさかのぼらなければならない。そんなことしていたら、先がないから(笑)待てない。そこで患者は薬と併用して、熱い、ぬるいの温泉で筋肉をやわらげ、血管を広げて血行をよくし、たまった老廃物を取り去る。代わりに温泉のもつ成分を吸収し、ホルモンの分泌を調整して元の身体に戻そうとする。しかし、これが長く待てないから、これにスピ−ドを加えたのがクアミッテルハウスである。かぶり湯にははじまって5つのコ−スがある。ゆったり気分でのびのびとして入る寝湯は、皮膚血管を広げ血行をよくするので   鎮静鎮痛に効果があり、消化を促進する。次は足の疲れをとる座湯、温泉浴、これは身体の芯から温まり疲れがとれて爽快感がある。また、気泡浴は水圧で噴き出す気泡がつぶれるときに超音波が発生し、身体の深部まで温める効果がある。さらに発汗、新陳代謝をよくし、神経痛や筋肉痛に効く。このほか温泉プ−ルもある。身体に障害をもつ人は、入浴前後マンツ−マンのリハビリ。「先生、歩けるようになった。」喜びのはずんだ声が飛んできた。

これからの温泉地の課題は?
温泉地は、どこも遊興と歓楽のちまたと化した。これも仕方あるまいが本来あるべき姿せはない。医者も療養だけでなく、病人を作らない予防医学にもっと目を向ける必要がある。温泉のもつ特異性を生かした体力づくり、健康づくりがこれからの大きな課題だ。卓を叩かんばかりの先生の迫力、これからの温泉地にかけた期待と情熱はすさまじい。昔、どこの湯治場にも少し離れたところに薬師堂があった。白浜にもあり、医者の少ない時代から湯治客は、   そのお堂に病気平癒の願掛けをし、帰りはまたお礼参りをしたものだ。途中には土産物屋があって孫や親しい人に、あれこれ珍しい土地の物を買って行った。この薬師堂参りの路が遊歩道で運動となっていた。今はマンモスホテルが土産物から食べ物、バ−のはてまで何もかもホテルの中で間に合うようになった。客を外に出さないというか、便利になって出なくてもよいというのか。これは少しおかしい・・・・・・。

遊び感覚で、体力づくりの"平草原"
「健康づくり」、この願いで生まれたのが平草原公園である。白浜は海側に開けた町だが、平草原はその名の通り小高い丘。一年中花が咲き、自然の森も、ゲ−トボ−ル場もある。園内には起状をつけた延長2kのファミリ−トリムコ−スがあり、コ−ス沿いには丸太やロ−プで作ったポイントと呼ぶ体力づくりの遊具施設が21ケ所もあって、チャレンジできるのを待っている。   森には、新陳代謝を活発にする海のオゾンと、神経を静かにリラックスさせるいわゆる森の精がいっぱいだ。町当局は「これからの温泉地はどうあるべきか」を問う"健康と温泉FORUM全国大会"の白浜開催を機に、同公園内に温泉とのかかわり合いを伝える『温泉民俗館』を建てた。

ダイナミックな自然の芸術に、感嘆!
白浜は、駅より空港の方が近いという珍しいところ。JRの駅員、町役場の職員、みんなアロハシャツ姿で「今日は」と迎えてくれる。町の人たちが自慢するだけあって、レジャ−施設や見どころにはコト欠かない。波しぶきがかかる『千畳敷』は広大な砂岩、岩がやわらかいので記念に刻んだ落書きの名所。その隣にそそり立つのが『三段壁』、中に洞窟があり、その昔、   源平の屋島の戦(いくさ)に馳せ参じた熊野水軍の船隠し場だったと伝えられる。大物を狙う磯釣りのメッカでもある。少し足を伸ばすと、めがね岩と呼ぶ『円月島』がある。ここに沈む夕日は天下の絶景という。いずれも海の自然が作り出したダイナミックなもの。加賀の東尋坊、伊豆熱海の錦ヶ浦、それに宮城松島がそっくり揃っている、とは観光客の話。
 
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