NPO法人健康と温泉フォーラムは医療、環境、施設等、温泉保養地に関わるあらゆる分野における専門家を中心とした団体です。
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那智勝浦温泉 なちかつうらおんせん

慢性関節リウマチ 慢性筋肉リウマチ 神経痛 神経炎 運動機能障害 外傷性障害の後療法 疲労回復 運動療法ほか

<所在地>和歌山県東牟婁郡那智勝浦町
<交通>JR紀勢本線紀伊勝浦駅から徒歩。場所によってはタクシ−と船便いずれか
<泉質>単純泉硫黄泉。含食塩硫化水素泉など様々

温泉療法医がすすめる温泉 生馬敏行
(那智勝浦町湯川温泉診療所院長 和歌山紀南地区リウマチ研究会会長
リウマチ認定医/理学診療内科/医学博士)

ありました。那智の絶景地にモデル的温泉診療所と健康ランド。
黒潮流れる南紀の海はどこまでも青い。また那智の滝、那智大社、熊野古道など歴史ロマンが隠れた景勝の地も多く1日や2日では到底回り切れないというのが那智観光。由緒深い湯どころでもある。南紀は、病院の中でいち早く温泉療法を取り入れて名実共に温泉病院の冠をつけた発祥の地だが、   統廃合問題でその病院は消えかかっている。ところが、「まだありますよ」という声が、那智勝浦からあがった。声の主は92年の第57回日本温泉気候物理医学会で評議員に推挙された生馬(いこま)先生。那智勝浦の湯川に温泉診療所を開いているというので早速訪ねてみた。

心が通い合う"環境療法"

奇岩断崖が連なる那智海岸は"紀の松島"と呼ばれる絶景の地。その海岸の一番奥、三方山に囲まれて静かにたたずむ"ゆかし湯"と呼ぶ入江がある。望郷の詩人佐藤春夫が生涯この地を愛好して自ら名付けたものという。その"ゆかし湯"のほとりに湯川温泉診療所があった。温泉は勿論自前のもので、無色透明の弱アルカリ水素イオン泉。病院の施設もさることながら、さざ波だけの穏やかな水辺に広い緑の敷地。その環境の良さには目を見張るものがあった。

  どんな名医でも聴診器1つと打診だけで病気は治せない。患者と医者の信頼関係、病院らしくない和気あいあいの雰囲気作り、これらを基本に自然と調和した環境療法というものがあると思っている―と。「入江にウチの水鳥がいるんです。患者さんが名前を付けてくれている。今日はどっかそこらに遊びに行ってるな・・・・・・。」「先生、向こうでみんなスイスイ泳いでいたよ。呼んで来ようか」、携帯無線を持った看護婦さんに連れられ日課の散歩から帰ったばかりの患者が答えた。

イキイキ表情に変える温泉
私は脳神経外科医だったが、祖父に「お前も医者なら俺の跡を継げ」と説き伏せられた。生涯痛みを引きずるリウマチ患者を何とか助けてやりたい、と温泉療法にうち込んでいた。リウマチはこの数年画期的な治療法が次々に現われているが、今一つ発症のメカニズムがつかめない・・・・・・。西洋医学に東洋医学のハリなど併用、さらにその谷間を温泉療法で埋めている。「おばあちゃん、ずいぶんよくなったね。一生懸命がんばった褒美に今日からお風呂に入ってもいいよ。」たちどころに患者の表情がほころび、数日足らずして患者の体調はグンと良くなる。人間の身体はヤジロベエみたいにいつもゆらゆら揺れている。それが突然右か左に傾きっ放しになる。これが病気だ。温泉は乱れたバランスを正常に戻す作用をする、不思議な力を持っている"生き物"だね―と。桜並木が続く診療所の入口に観音堂があり、   中に堆錦乾漆造りという見事な観音様が安置されている。 沖縄名所に平和観音があるが、これは地元出身の美術工芸家山田真山氏が戦争で二人の息子を失った心の痛手から一念発起して制作したもの。建立の蔭の協力者が親交あった祖父の初代院長生馬茂氏だったことから沖縄の原型像が贈られたという。その名も平和長寿観音と呼び、病める人を慰め励まし安らぎを与えている。ほど近い所に"グリ−ンピア南紀"がある。広さ110万坪。温泉は勿論各種スポ−ツ施設、キャンプ場などあって年配者から若者、家族連れみんな一緒に存分に楽しめる未来派リゾ−トとでも言ったもの。那智勝浦の新名所である。
 
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