NPO法人健康と温泉フォーラムは医療、環境、施設等、温泉保養地に関わるあらゆる分野における専門家を中心とした団体です。
名湯百選 名湯百選

小谷温泉 おたりおんせん

(浴用)神経痛 筋肉痛 関節痛 五十肩 運動マヒ 打ち身 くじき 慢性消化器病 冷え症 病後回復 疲労回復
(飲用)消化器病 糖尿病 通風 肝臓病 慢性胆のう炎 胆石症

<所在地>長野県北安曇郡小谷村中土
<交通>JR大糸線南小谷または中土駅からバス30分
<泉質>ナトリウム炭酸水素塩泉

温泉療法医がすすめる温泉 土肥豊
(埼玉医科大学内科教授/循環器病学/リハビリテ−ション医学/医学博士)

1ヵ所位こんなところがあってもいいじゃないですか
長野からソバどころ戸隠を山越えすると鬼無里(きなさ)という、その名も平和でのどかな山里に着く。ほどなく目の前に白銀の峰輝く白馬、乗鞍などの北アルプス連山が飛び込んできた。目指す小谷(おたり)はもう近い・・・・・・。その小谷温泉は緑もひときわ鮮やかに山に囲まれた谷深い渓流の上、信州の秘境と呼ぶにふさわしいところにあった。薬師如来のお告げで発見したという小谷の湯は、年に数えて430歳余。雪代水が流れる沢の中からコンコンと湧き出す湯量は枯れるどころか少しづつ増えてきているという。   浴槽から溢れ出たお湯は、そのまま谷川へと流れ「勿体ないと言ってくれるお客さんも多いが、有り難いことです。1ヵ所位こんなことろがあってもいいじゃないですか・・・・・・」、元湯で19代目当主という山田寛さん〈90〉は「世の中どんなに変っても自然に勝るものはない。自然のままが一番いいのです。」頑固なまでに昔ながらの独特の湯治場スタイルを守り通していて、これがまた評判となっている。

最高の贅沢、気分を味わう
「東京からはちょっと距離があるけれど、一度訪ねたらいつかまた行ってみたいと思い出す、心のふる里とも言える魅力の温泉です。私が最初にスキ−を憶えたところが、実は小谷なんですよ。」名湯に推薦した土居先生の話である。温泉は泉質とあたりの自然環境が大事で、あとは自分の好み。本気で保養、休養を望むなら、山の人は海に、海の人は山と普段の生活の場と反対の環境が効果的。   「海側の新潟糸魚川(いといがわ)から1時間の距離で心身共に安らぎが得られよう。また騒々しい都会の人にとっては別天地そのもののところである。」水道の水は死んだ水、温泉は生きている水と言われている。自然湧出の小谷の元湯は、源泉そのままだから新鮮なことこの上なし。湯舟に入ってザザッ−と溢れさせるあの気分は、最高の贅沢ですな−。

難渋偲ぶ、塩の道と"牛方宿"
戦国時代、上杉謙信が、宿敵でもある武田信玄に塩を送ったという話は有名。その"塩の道"千国(ちくに)街道が今も残っている。日本海の越後から塩や海産物、信州からは麻や煙草など運んだ物流の動脈路線だが山あり谷ありの難所続きの峠道である。一夜にして背丈を越える豪雪期は牛馬が通れない。この時はポッカリと呼ぶ人達が背負って運んだ汗の道。所どころに安全の折りを捧げたであろう石仏や馬頭観音碑があり、苦労を共にした牛と牛が同じ一つの屋根の下で泊まったという"牛方宿"が唯一軒往時の姿で現存している。両国、坂東、秩父と合わせて100番としたミニ札所、百体観音を過ぎるとスキ−のメッカ白馬と栂池高原がある。   シ−ズンともなれば四輪駆動の車が大行列を作るが、小谷のスキ−繁栄を築いた一人が、前述の山田翁である。山田さんは「スキ−の醍醐味は一度憶えたら止められない。しかし今のスキ−は、一番大事な基本がしっかりしていない。バ−ジンスノ−のどんな所でも滑れるようになるには真面目に練習を積むこと以外ない。自分の技術を過信したら、相手は自然、いつどんなことが起こるか解からない。楽しみはたちどころに苦しみと変る。楽しみの裏には必ず苦しみが付いている、ということを忘れないでほしい。」と苦言を呈してくれた。
 
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