指宿は海岸、川内は山の温泉比較的近い距離で、この環境の変化、これがいいんです。山の人は海に、海側の住む人は山の温泉に行け、というのは転地効果も倍加して、現代病といわれる軽いストレスなら短期間で心身共にリフレッシュ、すっきり気分になる。たかだか100mばかりの町に軒を並べ、一軒のホテルの他は飾らず、おごらずの湯治旅館。通りがかりの人、誰彼の区別なく「こんにちは」の挨拶は素朴で、温泉の湯よりも温か味が感じられ、ちょっとよそではお目にかかれない。湯治の宿代も、すぐ近くの店から米を買って持って行けば、タダで炊いてくれ、今どきこんなところがあるのか・・・・・・と、思わせる。正にタイムカプセル的値段の秘湯そのものである。温泉地の表土層が、清流NO.1の四万十川と酷似していて地質学上でも興味が持たれている。その地から湧き出る温泉は肌ざわりまろやかで、ほれぼれするばかり。 |
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腰痛にことのほか利くと言われているが、成分からして、ニキビや顔などの吹き出ものに源湯をつけても効果がある。人によってはラムネ泉と呼んでいるが、単純硫黄泉。客は天草諸島の人たちが多く自分たちの温泉という親しみをこめてか、島が川内の西側にあることから、西方温泉と呼んでいて、その地名も残っている。鹿児島といえば、西郷隆盛だが、兎狩りが大好きで、西郷さんと犬は、ここでの狩りがとり持つ縁だった。裏山を駆け巡っては、どっぷり湯を楽しんだ熱烈なファンの一人で、西郷さんは湯に入る前、必ず大きなタライに湯を汲みとって入った。身体が大きく湯が溢れ出すので、あとで入る人のことを考え、湯上がり後また元に戻していたという。維新後、盟友板垣退助らと主張した征韓論に破れ、いっときこの地にかくれ住んで次策の想をねった、など隆盛にまつわる話は数多く残っている。 |