水道の水は死んだ水、温泉は生きた水だという。何百年、何千年もの間、地中に閉じ込められていた岩漿水と呼ばれる水と、地中深く浸み込んだ雨水が一緒になり、何もかもドロドロに溶かす6,000℃もあるマグマの力で地表に熱湯となって現われるのが温泉。地殻変動によって出来た、岩の割れ目などを通るとき、その岩の持つ成分が交じってさまざまの泉質となる。須川は、その昔大爆発した火口のそばから毎分6,000リットルも湧き出ている硫化水素を含む明ばん緑ばん泉で、しかも強酸性の温泉。生命をもった生きた水の温泉は、その成分の刺激作用と、温泉の場所の環境が合体して、それぞれ特有の医学的効果を現わす。 |
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海抜300m位までの温泉は、保護性気候の要素をもっているので、どちらかといえば保養地向きのところが多い。この点1,000mを越す山岳部にある須川高原温泉は、紫外線が強い半面、平地と比べ6〜7℃の温度差があり、風が出たり霧がかかったりで極めて刺激的。加えて気圧が低く、酸素も薄い。清浄な空気のもと、こうした自然環境は身体にとって呼吸量がふえ、その呼吸もぐっと深くなって心拍数が増加し血液循環が盛んになる。この循環が造血機能を刺激し赤血球を増やす。同時に消化器系も程よく刺激され、「山で食べるオニギリはうまい」と言われる通り、食欲が出て丈夫な身体に、という図式になる。 |