NPO法人健康と温泉フォーラムは医療、環境、施設等、温泉保養地に関わるあらゆる分野における専門家を中心とした団体です。
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宇奈月・鐘釣温泉 うなづき・かねつりおんせん

神経痛 筋肉痛 関節痛 五十肩 運動マヒ 慢性消化器病 痔病 冷え症 関節のこわばり 神経衰弱 胃腸病 病後回復
疲労回復 健康増進など

<所在地>富山県下新川郡宇奈月町
<交通>
JR北陸本線富山から富山地方鉄道特急60分。同魚津から30分で宇奈月温泉。
宇奈月から黒部峡谷鉄道60分で鐘釣、徒歩10分
<泉質>アルカリ性単純泉

温泉療法医がすすめる温泉 柿下正雄
(富山医科薬科大学医学部教授/放射線医学/医学博士)

黒部の雄大な自然。とうとうと流れる北アルプスの豊富な水。そこに湧き出る温泉。
「私達はこの自然のおかげで生きている。いや、生かされてもらっているのです・・・・・・。」宇奈月観光協会事務局長さんの、飾りも誇張もない話は素直に聞けた。「黒部を訪ねてくれる人達を温かく迎えよう。宇奈月の町のみんなの"合言葉"なんですよ」とも付け加えた。宿では仲居さんが、「お客さんは遠くからですか。おらっちゃの温泉によう来て下された。黒部の山はいいところです。ゆっくりしていって下さい。」   これまた心のこもった挨拶だった。越中富山は昔からキレイな水が流れる山野で育った薬草が原料の"くすりの里"で、柳行李いっぱいの薬を担いで全国の村から町に売り子が散った。そう言えば庶民の健康を守ってくれた頼りの地。宇奈月は、富山を代表する健康志向を目指した温泉地だが、日本の産業を支える電気エネルギ−を生み出す、これまた頼りの"電力のふる里"でもある。

単なる秘湯じゃない。黒部のいで湯
電源開発で拡げた町だが2,000mを越す山々が折り重なるよう秘境、黒部の大自然を世に出した先人の苦労と努力は驚嘆するばかりだ―こう前置きして推薦医、富山医科薬科大学教授の柿下先生は次のように語ってくれた。宇奈月は設備の整った近代ホテルが立ち並ぶ温泉地だが、黒部の山、黒薙(くろなぎ)温泉から当初、立木をくり抜いた木管で引湯していた。豊富な湯は駅前の温泉噴水で見られる通り。釣鐘(つりかね)は、そのまた山奥で、ほかに名剣(めいけん)、祖母谷(ばばたに)、阿曽原温泉がある。断崖と渓流の景勝地にあって、温泉そのものがすっぽり森林浴をしているところ。   標高差のある環境は、単なる秘湯というだけのものではない。澄んだ山の空気は、森の精とも言うべきテルペン系物質が多量に含まれていて、自律神経を心地よく刺激する。テルペン系物質は、いらだつ神経を優しく包む鎮静作用があるので、現代病と言われるストレスにストップをかけ、ストレスがこうじた心身症に回れ右させる位の効果がある。それに川のせせらぎに素堀で石を積んだだけの野趣に富んだ露天風呂があるのだからたまらない。

わくわくドキドキのトロッコ電車
鐘釣などの温泉に行くのが、また面白い。自動車で宇奈月から山に入る道路がないので、唯一の足は黒部渓谷電鉄のトロッコ電車だけ。これがまた人気の的である。電源開発の工事用資材として作業員を運ぶ専用電車だったが、黒部の山に魅せられた山男達に「乗せてくれ」とせがまれ、「生命の保証はしない」条件付きで便乗させたという。以来人気が高まり鉄道法の営業免許を受け、ほぼ満員の観光客らを乗せて、ピ−ポ−と可愛い汽笛を鳴らしてガタゴト走っている。宇奈月から終点の欅平まで、距離僅か20kmだが、所要時間は90分。この間42ヵ所のトンネルと23本の鉄橋、目の前に7つの山が重なり合って追ってくる。荒々しい岩肌をむき出した峡谷が、右に左に移り変って乗客は、わくわくドキドキの連続で歓声もあがる。   ただ、この名物のトロッコ電車、冬期間は積雪のため運転休止となり、山小屋の温泉も休業となる。電車は定員制なので早目に予約した方がよい。頼めば宿でも手配してくれる。黒部川の電源開発は、大正6年調査を開始して以来、人跡未踏の最上流部に、通称黒四ダムを始め、現在9つの発電所があり、合計出力88万2,500kw。年間約30億kwhを発電している。昭和11年運転開始の黒部第2発電所の建物は、ゆうに50年の歳月を経ているが、優美な姿は現代建築で通用する見事なもの。最初の発電所は湖底に沈めるという、新柳河原発電所は円筒形のモダンな超高層ビルで突貫工事中。また宇奈月の電鉄駅前にあるアルペン風の異国情緒ある電気記念館は、勇気と英知で黒部の山に挑んだ感動の人間ドラマを美しく紹介している。
 
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