相談事例35 - 肝硬変症の方、股・膝関節症の方の湯治に関するご相談
群馬県の男性からお母様のご相談です。私の母は約5年前から肝硬変を患っており、現在母の実家にて祖父母と同居しながら静養しております。肝臓の病状は思わしくありませんが、日常生活は自立しております。そうした中、同居する祖母が膝関節や股関節の疼痛に悩んでいる姿を目にした母が、『日ごろ世話になっているお礼に…』と、母と祖母の二人で湯治に行きたいので、どこかよい場所はないかと相談されました。今まで、母と祖母が二人で出掛けるといった機会もなかった為、母の想いを是非とも叶えてあげたいと思っておりますが、湯治の行い方によっては危険性もあるとお聞きするので、専門の先生に助言頂きたいと思い、この度ご相談させて頂きました。二人の身体を考慮すると、遠方へ湯治に出掛ける事が難しい為、群馬県内もしくは近県で、二人の疾病に適した湯治場所や注意点等ご助言頂ければ幸いです。
回答:肝硬変症のお母様、股・膝関節症の祖母様と一緒に湯治に行きたいがいかがなものか、というご質問かと思います。詳細な状況が分かりかねますが、祖母様の股・膝関節症(変形性?)には温泉浴による温熱効果によって関節の痛みが和らぎ、可動性が高まって手足が動かし易くなるなど関節症状を改善してくれることが期待できますので湯治はお勧めできます。それに反して、肝硬変症では薬物治療を受けながら食事療法、安静療法をとるのが基本原則となっており、日常生活では食事内容は高蛋白、高エネルギー、そして散歩程度の運動にとどめ過激な労働を避けるというのが患者さんに求められます。「湯治」という温泉地に滞在して温泉の連続浴をおこなう極めて非日常的な過し方は温泉浴に伴う消耗、疲労を増強させる心配があります。現実には「肝臓庇護」食事に配慮した宿泊施設確保も容易ではないと思われます。したがって肝硬変症には湯治は適しません。しかし温泉には入浴法、あるいは一、二泊の短期のものから週余におよぶ長期滞在型のものまで種々の利用形態があります。種々の点を考慮し、また股・膝関節症を含めて一度、大塚医院(前橋市、027−231−2399)にご相談になってみてはいかがでしょうか。
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