相談事例39 - 乳ガンと温泉に関するご相談
愛知県にお住まいの女性からのご相談です。母が乳ガンと診断されまして、現在
転移等の検査中です。結果が出るまで期間が長く、不安で何かできることはないだろうかと、インターネット等を探す毎日です。ガンには温泉は禁忌ということですが、温泉の成分がいけないのでしょうか。それとも入浴自体がだめなのでしょうか。もし入浴自体がだめな場合、完治するまではシャワーのみの方がいいのですか?再発等の恐れもありますし、今後はどのような状態であっても温泉は避けた方がよいのでしょうか。どこまで回復すれば温泉に行けますか?また、温泉水について、販売者に問い合わせましたところ、あくまでもミネラル飲料なので、どんな病気でも飲用に問題は無いとの事でした。ただ、医者に相談するのであれば温泉療法医へとのことでした。温泉にガンの治癒能力は無いにしても、もしガン患者であっても体に害がないのでしたら、体にはよさそうなミネラル飲料ですので飲ませてあげたいと思うのですが、飲用も控えた方がよいのでしょうか。
回答:お母さんが乳がんと診断され、現在摘出組織の性質、関連するリンパ節組織への転移の有無を検査中との由ですね。検査結果が判明し次第、化学療法が始まると思いますが、いまは主治医の指示を受けながらお母さんの心身を安静に維持してもらうよう配慮するのが大切と思います。一般に温泉は水道水と違って種々の含有成分が溶けこんでいて、体を温め、それを長く持続させる保温効果に優れているものが多くみられます。温泉浴では、通常、体温上昇が高いほど、また長く続くほど体組織の代謝、消耗は亢進することが知られています。健康人が享受できるこのリフレッシュ感、心地よい疲労感も体の消耗を伴う慢性疾患(悪性腫瘍も含む)では消耗を一層強め、病勢を勢いづかせる恐れがあります。このようなことを考慮すると、遠距離旅行をしない、一日一回の簡単な入浴、長時間(連続10分以上)・高温浴(42度以上)・激しい発汗を強いる入浴等を避けるといった一般的注意を守る限り、温泉でも家庭入浴でもとくに問題はありませんし、ミネラル水についても同様問題はありません。がん細胞の薬剤感受性はどうか、リンパ節に転移はないかどうか、といったことが予後に関係してくる点であり、温泉成分うんぬんは全く関係ありません。要はお母さんが日常的な生活から著しくかけ離れた日々を過ごすことは出来るだけ避けて心身の安静を保ち、入院に備えるのがよろしいか、と思います。
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