相談事例56 - 尋常性乾癬に関するご相談
東京都にお住まいの男性からのご相談です。
10数年前から、尋常性乾癬で悩んでいます。頭に発疹ができ、その後全身にわたって乾癬が広がってきました。大手医大・その他開業医などで治療を受けましたが、ますますひどくなる状況です。温泉療法を受けてみたいと思っていますが、乾癬に効く温泉、温泉療養の方法、温泉療法の効果など、お教えください。
回答:乾癬はヒトの皮膚上皮を作るスピードが異常に早く、そのために上皮の角化、剥離が亢進して白いかさぶた状の皮疹が繰り返し起きてくる免疫性疾患として知られています。そのための免疫抑制剤、光線療法その他の種々の治療法がありますが、ご承知のように本症の原因がはっきりしない現状ではいずれの治療も症状改善のための対症療法として用いられています。温泉療法は落屑(表皮角質層の表面が薄い断片となって剥がれ落ちたもの)の除去、角質の溶解、発汗の増強、消炎、止痒などに効果をもたらすことが期待されていて、このため民間伝承療法として古くから各地の温泉地で一部の人たちに利用されてきました。本症が再発を繰り返す慢性疾患なので即効性のある薬の治療よりも温泉療法の併用が再発までの期間を延長させるケースもあると指摘されていますので一度温泉療法の併用を考えてみるのは結構かと思われます。大切なことは、温泉療法は現在の皮膚科で治療を受けながら温泉を補助療法として併用するという「代替補完療法」の一つであり、貴方のQOL(生活の質)の改善に有効な手段となりうることを知って戴くことであります。主治医の了解をえて、温泉療法医のいる次の病院に具体的な利用法につき問い合わせしてみてはどうでしょうか。孝仁病院皮膚科(盛岡市、019−656−2888)
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