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いわき湯本保養プログラム開発と今後の課題 植田理彦温泉療法医会顧問 1.はじめに 現代はストレス社会である。特に人間関係の複雑さによる心理的ストレスによる健康阻害が大きい。人間のからだは、疲れを覚え休息、休養して回復するという繰り返しで、健康な生活が営まれているのであるが、とかく現代人はからだの異常感や、疲労感を薬に頼って取り除こうとして、休息、休養、睡眠を十分とることをおろそかにしている。 厚生労働省は、昭和63年に「アクティブ80ヘルスプラン」を提唱し健康づくりの三要素である栄養・運動・休養を総合的に実践していくための方策を示した。この政策に沿って栄養については、管理栄養士、栄養士などマンパワーの養成、国民栄養調査、栄養所要量の策定と普及、食生活指針の策定などの施策が展開されている。 運動については、健康運動指導士、健康運動実践指導者、温泉利用指導者などマンパワーの養成、運動型健康増進施設、温泉利用型健康増進施設の指定制度などの施策が展開されている。 休養については、具体的な施策の展開が栄養や運動に比べて遅れていたが、平成6年には「健康づくりのための休養指針」が公表された。これを具体化するものとして「健康休暇」の普及が重要視されている。さらに「健康休暇」を健全な形で普及させるためには、それを実践する場として「健康保養地」の整備が必要であると提唱されてきた。 2.健康保養地の役割 「健康休暇」の受け皿としての「健康保養地」は、従来の日本的な温泉観光地、温泉歓楽地ではなく、健康づくり、美容づくり、健康学習を実践する非日常的空間である。 わが国の一般的な休暇の利用法は、あわただしく歓楽的なスケジュールでごく短期間の旅行が多く、反って旅の疲れが溜まるような休暇を過ごす人が多く見られる。 わが国には昔の人の知恵で、「湯治」の風習があった。「湯治」は当時のストレスを癒す手段であり、栄養、運動、休養の健康づくりの三要素を経験的に実行して、確実に一年間に溜まったストレスを取り除き健康を取り戻していたのである。すなわち、農閑期または、漁獲気の前には、米を持参して温泉地(湯治場)へ約1ヶ月間滞在をして、朝市でその土地の栄養価の高い旬の産物を求めて食し、お礼参りとして薬の神である薬師や、温泉神社、温泉寺などに日参する歩行運動、そして温泉入浴や、仲間と体の不調や健康づくりなどの情報を交換するなど休養を図っていた。そして一年間にわたる自然の厳しい気象の物理的ストレスや肉体の疲れを癒し、確実に健康を取り戻し来るべき農繁期や漁獲期に備えていた歴史がある。 現代に至っても「湯治」の意義は変わらず、温泉地は進歩した科学の成果を生かしつつニーズにあった現代湯治場として、生まれ変わることが望まれる。それは、ハード面ばかりではなく、健康に役立つ保養プログラムの提供などソフト面のサービスや、ホスピタリティーである。 いわき湯本温泉地が目指す方向として、健康保養地を選ぶならば、利用者が安心して満足のいく健康休暇を過ごせる場として整備することである。また、地域の特性を活用した特色ある滞在プログラムを提供することで、利用者により有益な情報を与えることである。 3.保養プログラムの基礎 (1)利用者の構造-滞在客、地元住民 いわき湯本温泉を訪れている旅行者の多くは、歓楽、観光旅行目的で一泊二食宴会型、バス、ドライブ一泊型であると推察できる。 「温泉の社会的活用と地域の健康づくり」のテーマを掲げ、今後のいわき湯本温泉の目指す方向付けをするならば、健康づくり、休養目的の個人、家族、小人数グループ滞在型の客層を誘致することである。 健康づくり、休養目的の利用者の健康水準は、肥満、高血圧境界域、糖尿病境界型、高脂血症、高尿酸血症、腰痛、肩こり、筋・関節痛、高齢者などの半健康人が多く含まれることとなる。 (2)利用者のリズム-毎日、平日(一週間のうち何日か)、週末か月一回程度プログラムはこの利用者のリズムに合わせて調整する。週末は従来の団体観光客、歓楽客が利用するであろうから、そのオンシーズンを除いた、平日のプログラムの有効性が重要である。 構成と内容は、短期間で開放的であること。つまりとっさの利用を可能にしなければならない。また、毎日か頻繁に訪れる地元住民の利用者に対しても考慮しなければならない。訪れた滞在型旅行者の目的を満足させるプログラムの有無と、その内容がホスピタリティー、客のもてなしのあり方にかかわってくる。その目的は旅行者個人によってさまざまであるが、つまるところ癒し、健康づくり、美容づくりと学習である。 4.保養プログラム企画チーム 健康づくりに資する「滞在型保養プログラム」が、滞在客や地元住民の健康づくりに提供できることは、専門知識技術者が中心になる企画チームにより作成されることである。すなわち、医師、看護士、保健士、管理栄養士、栄養士、健康運動指導士、健康運動実践指導者、温泉利用指導者の他 (1)地域内の関連施設の関係者 (2)地域住民、(伝統芸能、技術の伝承者) (3)旅行業者 (4)宿泊施設経営者 (5)旅館の女将 (6)その他の専門知識技術者(エステティシャン、各種インストラクター、コーディネーター、保養指導者、自然観察指導員、バルネオ・セラピスト) (7)ポランティアを含めたマンパワーの参加体制が整っていることである。また、地元住民はもとより商店など業者、保健施設、行政の協力も不可欠である。 5.保養プログラムの施設 (サンシャインいわき・ガイドマップより) (1)文学・美術-草野心平文学館、勿来関文学歴史館、いわき美術館、岡倉天心五浦美術館、野口雨情記念館 (2)古代歴史-アンモナイトセンター、海竜の里センター、石炭化石館、暮らしの伝承館、波立薬師白水阿弥陀堂 (3)自然探勝-夏井川渓谷、背戸峨廊、いわきの里・鬼ケ城、いわきフラワーセンター (4)海浜、マリンスポーツ-三崎公園マリンタワー、塩屋崎灯台、いわきデイクルーズ、10ケ所の海水浴場 (5)ウォーキング-湯本川流域散歩道、まちなかみてあるき50選、いわき湯本温泉郷みてあるき50選 (6)ゴルフ場 (7)ゆたか台公園、御幸山公園、21世紀の森公園、温泉神社 (8)温泉利用型健康増進施設-スパリゾート・ハワイアンズ、いわきゆったり館クアハウス (9)馬の温泉、さはこの湯 5.保養プログラムの要素 魅力あるいわき温泉地のホスピタリティーのありかたは、客の選べる多彩なプログラムが用意されていることが望まれる。それは自然環境、既設施設、温泉文化からなる。地域の特有なプログラムを創ることにより、集客の拡大に発展する。特に連泊、滞在型の集客を図る温泉保養地にとっては、地域特性を生かした魅力あるプログラムづくりが最重要課題であろう。 (1)利用者-若年女性グループ、中年女性グループ、子供ずれ家族、中高年夫婦、地元住民、健康者、半健康者 (2)滞在期間-心身の転地効果が得られる最短4泊以上 (3)目的-健康づくり、美容づくり、癒し、将来の人生設計、自己発見、家族団らん(家族機能調整)、素養の備蓄 (4)地元住民のコミュニティー 6.滞在保養プログラムの具体例 第1日-到着(午後)-休息-オリエンテーリング-自由時間-夕食-ミニレクチャー-入浴 第2日-起床-散歩、太極拳、体操、(温泉神社境内、公園)-朝食-エキスカーション-選択-帰宿-夕食(入浴)-団欒-自由時間 第3日-起床-散歩、太極拳、体操、(温泉神社境内、公園)-朝食-エキスカーション選択-帰宿-?夕食(入浴)-ミニレクチャー(健康講話、温泉療養講演、文化講演など) 第4日-起床-散歩、太極拳、体操、(温泉神社境内、公園)-朝食-自由時間-町なかみて歩き(土産物)-昼食(食べ歩き)-帰宅 到着時のオリエンテーションは、宿泊施設、旅館の保養指導者、バルネオ・セラピストによる。 エキスカーションは、「保養プログラム施設」から滞在客の好みで選ばせる。その内容については十分説明を加える。 温泉入浴については、「温泉利用指導者」「いわき湯本温泉バルネオ・セラピスト」による。 7.その他のプログラム (1)健康教育プログラム 実践場所-スパリゾートハワイアン・ウイルポート ゆったり館・クアハウス 栄養相談 指導(低カロリー食、薬膳など) 健康相談 運動指導(水中運動、太極拳、マシン運動など) 美容相談(正しい姿勢、正しい歩き方を含む) 生活相談 (2)アンチストレス4日間プログラム3食付薬膳メニュー
(3) ビューティープログラム4日間3食付低カロリー食
(4) 療養プログラム 肥満 高血糖 高脂血症 腰痛 肩こり それぞれの栄養、運動のプログラムを提供する。このプログラムは帰宅しても日常生活で可能なものとする。 滞在中は毎日スパリゾートハワイアン、ゆったり館のクアハウスの利用をプログラムに組み入れる。 (5)週間プログラム(月曜日から木曜日まで) 午前、午後定まった時間に定例のプログラムを開催する。 メニューは、水泳、水中運動、温泉入浴、有酸素運動、太極拳、薬膳などの講座、指導、実践プログラム。 |