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| ■パネルレポート1 「ヨーロッパにおける温泉利用客の動向とライフスタイル」 ウォルフガング・ナールシュテット ![]() ドイツ・ビーレフェルド大学教授。 ヨーロッパレジャーレクレーション協会(ERLA)会長。 専門は余暇教育論、文化活動、観光事業学。特にレジャー、観光、温泉の発展などが主な研究プロジェクトのテーマである。温泉先進国ドイツにおいて、長年レジャー・リクリエーションの研究に携わり、余暇文化研究の先鞭をふるう。「ヨーロッパ温泉保養地の近代から未来」のテーマにおいて、その現状と問題点、今後方向性を示す。 1.グローバル化:ヨーロッパの温泉が世界市場に進出:1990-? 1.1 健康増進:次のミレニアムの基軸になる革新とは? 健康増進は、新たなミレニアムにおける次世代のビジネスサイクルとして新しい基軸的革新分やになるだろう。これは、昨日、既に、指摘された長期変動に対する経済理論(ネフィオドー、1996年)の論旨である。それがヨーロッパの温泉にどのような作用を及ぼすのか。またヨーロッパの温泉利用の動向および健康志向のライフスタイルがどのように表れてくるのか。 図01:健康増進:新たなミレニアムにおける次世代ビジネスサイクルの基軸的革新とは(ネフィオドー)?
1.2 初期の状況:1990年代初期 昨日、すでに指摘されたように、1989年11月9日にヨーロッパの戦後が終り、ドイツが統一された。温泉の数は280〜320に増え、現在ヨーロッパ(ロシアを除く)の約1,500の温泉のうち20%以上がドイツに位置している。1994年、約1,350万人の利用客が、ヨーロッパの1,500カ所の温泉を訪れ(1994年)、そのうち75%にあたる1,000万人がドイツの温泉を訪れた。温泉療養客らはヨーロッパの温泉地に約1億5,000万日宿泊し(一人平均11.1日)、そのうち約80%にあたる1億1,600万日はドイツの温泉に宿泊した。(ESPA/Reppel+Partner1995年)に類似の統計を出している。加盟国10ヵ国のESPAが代表する750の温泉のうち、ドイツはその42%にあたる318カ所を占め、利用客全体の74%と登録宿泊日数の97%を占めている。 図02:1995年ヨーロッパのESPA加盟国の温泉と健康リゾート地
(1995年 ヨーロッパ温泉協会より。ヨーロッパの温泉と健康リゾート地。(ボン/ブリュッセル) 1994年には、なおも8,000万人のうち15%にあたる1,000万人の温泉訪問客が、ドイツの温泉を訪れている。ヨーロッパの人口3億5,000万人のわずか%に当たる350万人のドイツ人訪問客が、その他ヨーロッパ16ヵ国の1,223カ所の温泉を訪れた計算になる。1990年代初期までドイツでは温泉利用に価値が置かれていた。1996年まで、全ドイツ人労働者に”療養”の権利が与えられ、3年間に4〜6週間温泉に滞在できた。1990年代半ばまで、ドイツ人は世界で最も積極的に温泉を利用する国民であり、ドイツの温泉では保養と接客サービスの質的向上が求められた。その他のヨーロッパ諸国の温泉にはそれぞれ異なった利点がある。東ヨーロッパの温泉は、(現在でも)低価格で利用でき、南ヨーロッパの温泉では日光浴も楽しめる。これらもまたドイツ人がよく訪れている温泉である。 2. 温泉の危機-福祉国家の限界:1996-? 2.1 社会医療法の改定 しかし、危機がやってきた。いかにして克服するのか?健康増進の動向とライフスタイルはどのように変化するのか?ヨーロッパの温泉はどのような対処が必要なのか?1996年、ドイツと同様に、多くのヨーロッパ諸国でも社会健康法が改定された。ドイツの労働者の"療養”利用の権利は厳しく制限され、現在では4年間で(改定前は3年間)3〜5週間(改定前は4〜6週間)になり、補助も縮小された。その結果、1997年には多くの温泉で、利用客の宿泊日数が30%以上も減少した。その結果、数々の診療所や病院が廃業に追い込まれ、何千もの職場が失われた。(ドイツ連邦共和e.V.1998年): 図03:1977〜1997年、西ドイツの温泉における利用客数と宿泊日数
2.2 身体的健康、ダイエット、美容、生命:「質の高い健康」に対する新たなライフスタイルの輪郭 早急に温泉の新概念を打ち出す必要がある。ヨーロッパの温泉では市場とサービスにおける新案として健康に視点を置こうとしている。今後、自己負担の保養来客者を開発する必要があり、健康志向型観光に新たな展望があるだろう。1999年2月、ドイツ温泉協会(DHV)の余暇化学と文化事業(余暇文化研究所)に要請して、全会員を対象にしたアンケート調査によると、全体の80%もの温泉が、2.38%以上の自費保養客に、5つ以上の健康上のプロダクトを提供している(ナールシュテット/ブライレン、1999年)。新しいプロダクトを提供するには、品質の最適化を支える新概念が必要になってくる。健康の概念は、新しいライフスタイルのモデルとして、米国において40年間論議されてきた。(トラヴィス、1984年、カマーマンによって、1983年:1) 図04:ライフスタイルのモデルとしてのウェルネス
ウェルネスとは生き方、という解釈が最も正確である。(ボールド:WN)各自が、個人の福利のために、その最高の可能性を達成するライフスタイルである。ライフスタイルとは、運動、食事、ストレス解消、環境への感受性といった、自分で管理できる活動から成り立っている。高水準のウェルネスの達成には、より美しい生き方への絶え間ない努力を要する」(ebd)。ウェルネスの概念は1990年代に、ヨーロッパでも、オーストラリア、スイス、ドイツといったドイツ語圏にまで広がった。以下のモデルは、「健康とは、完全なる肉体的、精神的、社会的に完全な福利」のための必須要素の概要である。 図05 高度なウェルネスを達成する要素(ナールシュテット1999年)
今、ドイツの温泉ではこれらの事項を焦点化し始めた(ナールシュテット/ブライレン、1999年): 図06:1999〜2005年、ドイツ温泉で自費保養客を対象とした健康の人気項目一覧 ![]() 質問:以下の健康に関する項目は、1999〜2005年の「自費保養客の健康にとって」、どの程度重要なのか? 2.3 ヨガ、アーユルヴェーダ、太極拳、気功、TCM:健康文化のグローバル化 新たな温泉文化に不可欠の要素は、グローバル化の過程にあるだろう。世界の6〜7つの文化圏で健康に対する様々なアプローチがとられ、より強烈な相互関係の時代に入るであろう。温泉は、ローマ時代にすでに到達していたように、再び人々のふれあいの場となるだろう。「瞑想」は上記の高水準なウェルネス要素のモデルに既に組み込まれている。 2.4 質的管理に対するウェルネスの概念 新たなターゲットとなる客層とライフスタイルにとって、その市場が優勢になり威力的であるために、温泉は新しい健康とウェルネスの概念に向けた質的管理をしなければならない。(ナールシュテット、1999年a) 図07:ホテルや温泉を対象としたウェルネスの概念に対する質的管理モデル 2.5 外国人利用客:新たにターゲットとなる客層を求めて ローマ時代や19世紀に既に見られたように、温泉利用客の構成は、一層国際的になるだろう。特に、ドイツの温泉ではその可能性が高く、ターゲットの客層を得るため世界市場で競争しなければならない。従来、ドイツの温泉の外国人宿泊客の割合は2%未満とごく僅かである。(1994年、1.3%:1997年、1.4%-ドイツ連邦共和国1995年から1998年): 2.6 健康志向型観光事業の構成 健康増進の要素を強く持つ健康志向型観光事業が、次第に増加し重要な事業となるだろう。(ナールシュテット、1999年a) 図08:ドイツの温泉の外国人利用客:1977〜1997年の利用客数と宿泊日数
図09:増加する世界的な健康志向型観光事業の構成
新たなミレニアムにおける温泉:展望 世界は、温泉の世界的組織を持つ地球村となり、全ての医療措置サービスが提供できるようになるであろう。温泉ネットワークは、全世界に歴史上知られることとなり、開発されているあらゆる療養が全ての人に提供され、この拡大された世界の枠組みの中で、新たな世界的社会政策によって、万人のための健康が保証されるものにならなくてはならない。健康教育および健康志向型観光事業は、高次元のウェルネスを達成するための新しい重要な要素になるだろう。世界中の温泉が、アジアもヨーロッパのように、もちろんドイツも世界的な健康市場でウェルネスを提供できる地球規模のマーケティングを構築しなければならない。 図10:世界の健康市場におけるヨーロッパの温泉(「温泉療養」)の新しい訪問客(ナールシュテット、2000年)
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