NPO法人健康と温泉フォーラムは医療、環境、施設等、温泉保養地に関わるあらゆる分野における専門家を中心とした団体です。
FORUM REPORT Workshop
 
パネルディスカッション-1
旅行スタイルの変遷と展望



中澤康治
(株)中沢ヴィレッジ副社長



私は、草津温泉で大阪屋旅館(35室)、草津グランドホテル(32室)、ホテルヴィレッジ(168室)、会員制リゾート倶楽部(136室)、大阪屋不動産、レストラン、コンビニ等をてがけている「草津に生まれ育ち」「草津にこだわった」「草津から一一歩も出ない、又は出られない」株式会社中沢ヴィレッジという企業の副社長です。三つの旅館ホテルのから見た最近の旅行スタイルの変遷を次のように、10種類に分類してみました。

1)最大の特徴はお金を使わなくなった事で、不況が定着した形に他ならない。
 ・お金を使わなくなった(ホテルヴィレッジ)
 ・ますます宿泊料金が安くなってきた(グランドホテル)
 ・コンビニで買って持込が増えた(ホテルヴィレッジ)
 ・客室の冷蔵庫が売れなくなって廃止した(ホテルヴィレッジ)
 ・正月、盆、連休、土曜日に高い料金が取れなくなった(ホテルヴィレッジ)
 ・宿泊単価、料理単価がさがった(ホテルヴィレッジ)
 ・料金を下げれば一杯になる(大阪屋旅館)
 ・お客様が良く研究しており安い企画物から売れる(大阪屋旅館)
 ・宿泊情報を良く調べてから予約する(ホテルヴィレッジ)
 ・下げにくいパック料金より下げやすい1泊2食が増えた(ホテルヴィレッジ)
 ・旅館仲間の競争が激しい(グランドホテル)
 ・以前よりおみやげ品が売れなくなった(ホテルヴィレッジ)
 ・付帯設備にお金を使わなくなった(ホテルヴィレッジ)

2)不況で会社が慰安旅行をしなくなり、集団の規制を嫌う個人が増えてきた。
 ・団体が減って個人客が増えた(ホテルヴィレッジ)
 ・会社の慰安旅行が激減(ホテルヴィレッジ)
 ・乗用草が増え駐車場が足りなくなってきた(ホテルヴィレッジ)
 ・金曜日、日曜日が増えた(ホテルヴイレッジ)

3)今や旅行の主導権は女性が握っている。
 ・若い女性が増えてきた(大阪屋旅館)
 ・女性客が増えた。中年、年配、、グループとも(ホテルヴィレッジ)
 ・年酉己の女性が自然散歩に参加する(ホテルヴィレッジ)

4)のんびりゆったりの年配のカップルが増加している。
 ・リタイヤ組みの土曜日を避けた5,6連泊が多くなってきた(大阪屋旅館)
 ・年取った夫婦、兄弟、肉親旅行が増えた(ホテルヴィレッジ)
 ・老夫婦の二人づれが増えてきた(ホテルヴィレッジ)
 ・年配のカップル11月などのオフをよく知っており増えた(大阪屋旅館)
 ・2連泊は年配者(ホテルヴイレッジ)
 ・バス旅行は年配者のカップル多く2連泊(グランドホテル)
 ・連泊サービスを選ぶ人が増えた(ホテルヴィレッジ)
 ・2連泊のエ−ジェント企画があたっている(グランドホテル)

5)旅行は個人の好みプライベート化の傾向が鮮明になってきた。家族づれ、カップル、親類、お喋り・仲良しグループ
 ・第2、第4上曜日は子づれ家族がふえた(ホテルヴィレッジ)
 ・家族づれに大手エ−ジェントが(ホテルヴィレッジ)

6)男女の交際が自由になり、性が開放されたため異性を得る手段としてのスポーツやスキーがあまり行なわれなくなり、旅行で楽しみ憩う強力な目的となった。
 ・若いカップルが増え、平日はほとんど二人(ホテルヴィレッジ)
 ・若いカップルが多く、町をぷらぶらするだけでスポーツはしない(大阪屋旅館)
 ・スポーツが三分の一に減った(ホテルヴィレッジ)
 ・スキー客が減り若い者はスキーをしなくなった(大阪屋旅館)
 ・スキーはほとんど無い(グランドホテル)
 ・参加、行動型スポーツが減った。やる事より見る事(ホテルヴィレッジ)

7)環境問題、健康意識の高揚などから自然、温泉指向が強まった。
 ・温泉と自然に人気(ホテルヴィレッジ)
 ・温泉の評判がいい(大阪屋旅館)
 ・湯めぐりの客が増えお湯が混む(大阪屋旅館)
 ・熱い湯加減のお湯からぬるめに(ホテルヴィレッジ)
 ・温泉志向が強くなった(大阪屋旅館)
 ・垢すり・足心・エステ・整体マッサージなどが好調(ホテルヴィレッジ)
 ・野天風呂の要求が増えた(ホテルヴィレッジ)
 ・自然散策が増えた(ホテルヴィレッジ)
 ・大手の健保契約が増えた(大阪屋旅館)
 ・健保契約に大手工一ジェントが(ホテルヴィレッジ)

8)料理も健康指向になってきた
 ・中華料理が減った(ホテルヴィレッジ)
 ・和食が増えた(ホテルヴィレッジ)
 ・食べ放題の人気がなくなった(ホテルヴィレッジ)
 ・懐石料理昔ほどのインパクトが無い(大阪屋旅館)
 ・1種類を多量より薄味でおいしいものを少しずつ(ホテルヴィレッジ)
 ・温かいものを温かく食べる(グランドホテル)

9)余裕の在る、快適な部屋
 ・ウォッシュレット付き、バリヤフリー、手すりつきの部屋(ホテルヴイレッジ)
 ・チェックアウトを遅くの要求、アウト12時は好評(ホテルヴィレッジ)
 ・部屋の水回りに煩くなった(大阪屋旅館)

10)旅行代理店主導の企画になってきたのは先に顧客動向を敏感に反映したもの。
 ・エージェント主催のパックが増えた(ホテルヴィレッジ)
 ・エージェント企画のサービス付きが増えメニューまで指定する(大阪屋旅館)
 ・ほとんどが工一ジェントの企画(グランドホテル)

11)その他
 ・直が増えてきた(大阪屋旅館)
 ・障害者の団体が増えた(ホテルヴィレッジ)
 ・予約が遅くなり、当日ウオークインが増えた(ホテルヴィレッジ)

 特に、スポーツ関係の落ち込みをグラフにしてみました。このBのグラフで表したカーブは草津スキー場の人込み人員に係数を掛けて同じ目盛り上に表したものです。人口雪により新しいスキー場が増えたこと、スノーボードの比率が初めて30%を越したなどの要因もありますが大きな流れに、若者の性にたいする考え方の変化があると思います。
 次に白然指向とて早朝散歩のグラフをご覧ください。参加者にはご年配の女性の方が多く見られます。
最近の4トレンド
1)低所得の時代 
2)女性の時代
3)全年代層カップルの時代
4)自然・健康指向の時代といえるでしょう



 今後の展望について考えてみました。
 1989年東西ドイツの壁が壊れ、1990東西ドイツが統合されました。そして、1991年にはソ連の崩壊となります。この年、40億円の巨費を掛けた我がテルメテルメ(西洋温泉湯治館)が完成したのが12月12日です。これをピークに1992年、日本のバブル経済は破裂、深刻な不況に突入しました。その7月7口、私はこの中沢ヴィレッジの悲願とも言うべき西洋温泉湯治館に単身赴任しました。今や、我社に70数億の預託金をもたらせた会員制リゾート倶楽部は10年を迎え、返還すべき時期に来ています。そして打ち続く不況にあえぎながら将来の方向をなんとか打開すべく様々な努力が始まっています。ここでまずこの不況をどう考えるかから出発すべきと思います。最初に述べたように、社会主義社会が崩壊し経済格差のある東西が同じ市場に統合した事、南北もまた市場経済による南の低賃金労働者の参入で、日本経済は、東と南の低所得の波に押し寄せられグローバル化に巻きこまれました。今までの日本経済は、先進国のあとを効率的に追いかける中央集権的な体制と自立しない国民体質の下で達成された、最も成功した社会主義の国と言ってもいいかもしれません。ソ連は明確に崩壊がわかりますが、日本は資本主義と思っているだけに問題に気づくのが遅れ、国際市場化には問題が多発しています。そこで行なわれた、橋本内閤の急激な変革に、国民が付いて行けず駄々をこねて、小渕体制が出現し、今年度一般会計85兆に及ぶ今までに最も多量な官需要のカンフルを使い、立て直しつつあるといったところではないでしょうか。体力が付き民間に元気が出てくるには内蔵する問題はそのままですので、将来の不安傾向は、一時は良くなっても、世界中の所得レベルが上がってくるまで当分の間、続くのではないでしょうか。官需要は財政難で小さくなり、企業はリストラにより収益をあげるので、留まった人と離れた人との所得格差が生まれ、残った人は生産性向上のために所得は上がるが忙しく、多くの人は閑はあるがお金は無い状態で、若者層のアルバイトも少なくなり、加えて少子高齢化により若年マーケットは縮小するでしょう。つまり、少しの高所得層と多くの低所得層に分かれてくるでしょう。そして、今までの豊かな体験がある為、「出来るだけ少い費用」で本当の満足を求める難しい時代がやってきています。しかし、これを反対に考えればチャンス到来です。「本当にお客様の喜ぶ物を」「出来る限り安く」売ればお客様は「必ず来てくださる」のです。都会はごみごみしているし、煩いし、ストレスはたまるし、日常生活はつまらないし、出たくて出たくて困っています。心から歓迎してお客様を喜ばせ、料金を出来るだけ安すくすれば必ずいらっしゃいます。我々が料金を下げる事は相対的にお客様の所得を増加させる事と同じです。大いにお客様の為に観光地間の競争を致しましょう。競争によって日本の温泉は安くなり世界的にも評判になるでしょっ。どんな時代が来ても観光産業で生きて行けることを考えてみました。「その場所を愛する」ということが出発点では無いでしょうか。愛国心、郷土愛、家族愛、自己愛となるとなんとなく排他的で狭くて、怖い感じがしますが、そこを観光国・観光地、観光施設、サービス・エンタテイナーというように考えると、オープンで、明るくて、平和的な感じになります。
世界中の人々がそれぞれ、愛する場所にこだわり、そこを、決して「たかり」「追いはぎ」「雲助」根性ではなく「観光地として」お客様に喜んで来て頂く競争をしたら、どんなに世界はどんなに楽しく平和になるでしょうか。
 そうなると地球上に存在するあらゆる場所は、位置によって全く違いますのでお互いに「違う良さ」を競うようになります。
 気候、空気、風土景色、歴史、産物、農産物、食べ物、家、施設サービス、旅人、住民、小動物、鳥、昆虫、植物、菌類、岩石、山、河川、天体の見え方、温泉…ETC。あらゆる物が観光資源です。これらを訪れるお客様にわかりやすく楽しんで頂く競争です。そこで、我等の使命は「そこを愛し、そこを調べて学び、そこを訪れる多くの人に、そこの良さを、おもてなしの心を持ってお知らせする事にある」となります。地球上のどの場所に行っても、その場所は何かを語ってくれますが、旅人にとっては表面だけしか聞こえてきません。その「場所のささやき」は、そこを愛し、そこを本当に良く知る人だけが聞きわけられます。この地元人こそ「場所のささやき」を旅人に翻訳して、感動とともにお伝えする義務があるのです。ただ、パンフレットを作れぱいいと言うのではなく、知っているのを自慢するのではなく、伝える人の感動を、旅人に伝えるのです。注意しなければならない事は、地元の人はその土地のことにすっかり慣れてしまい、当たり前になっているので感動が薄く、「その土地に無いもの」に感動しがちのため、お客様や旅人にとって当たり前で、都会で飽き飽きしているようなものに感動してしまうので、観光地がどんどんつまらなく、金太郎飴のように皆同じようになってしまうのではないでしょうか。自分の地を愛し、こだわるには、絶えず他の地を尋ね、比較し、感性を磨く必要があります。自分のことはあまり良くわからないのが人の常です。鏡を見て初めて自分の顔がわかるように他の人に自分の事を聞くのが一番です。よそから来てその上地が好きになって住み着いた「よそ者」のご意見は特に大切です。また自分の知識をひけらかしお客様が主役なのに自慢に走る人、人が嫌いで自然が好きになった人も困ります。いつもお客様を心からおもてなしする気持ちを持ち、お客様の喜びが自分の喜びになるのが肝心です。草津町の憲章は「歩み入る者に安らぎを、去り行くものに幸せを」です。東山魁夷著「馬車よゆっくり走れ」ドイツ・ローテンブルグ城門にあるこの言葉を全観光地に捧げます。
 このような考えから、私は毎朝7時よりホテルのお客様に中沢ヴィレッジの白然散歩道を約2.5キロ1時問10分、3年前より同じ道にこだわって四季を通してご案内しております。



 上の表が3年間の統計ですがお分かりの通り徐々に増えております。アンケートに楽しかったというお言葉がうれしくて、最近ホテルのサービスが良くなったというのは全体を贔屓目に見てくれるようになったのかなと思います。今の時期は寒くて参加する人が少ないのですが、この季節の良さをお客様にお知らせするのが役目だと思っています。ここで、始めの一部を説明してみます。
1)オハヨウございます。12月16日午前7時、気温一2度Cです。これはアズマシャクナゲで、5月20日頃咲く草津町の町花ですがこの様に零度以下になると葉を丸めて垂れ下がります。寒暖計のように正確です。
2)玄関の上に標高2171mの本白根山々が見えます。この貧弱な玄関は景色を見て頂くためで、ロビーの天井も低く造られています。
3)葉が落ちてこの森はヒノキとサワラがめだちます。葉の後ろに白い「Y」の字がついています。「ヒノキだワイ」。サワラは「X」?です。
4)遠く、もうもうと湯煙りが見えるのは草津最大の源泉で、毎分7000L96度Cの万代鉱です。草津ではボーリングは一切禁止で、白然湧出量は日本一といわれ、ここには湯畑と綿の湯の三本が引湯されています。
5)これは、こぶし木です。ビロードのような白い芽がびっしりついていますね。もう来年の春4月、真っ先に白い花を咲かせる準備です。
6)この先に見えるのはベルツ通りです。今工事中でご不便をおかけして牟りますが、年内に完成します。これは融雪工事で温泉の川「湯がわ」の33度Cの湯を道路の下に通して雪を解かします。
7)葉が落ちたおかげで枝振りが良く見えます。あっッ、あそこにいる少し大きな烏はカケスです。森の人気者、羽も綺麗でしょう、この季節は見とおしがいいのでバードウオッチングには最適です。
8)白樺の下にあるのは似ているダケカンバです。標高の高いところに見られますがここでは逆で、1123m標高下限の木です。道路計画では切る予定でしたが先代が切らせません。この木は「道曲げ樺」といわれます。
9)これは、ミズナラとコナラの落ち葉です。どんぐりの成る木は全国で十数種類あるそうですがこの辺は標高が高いので2種類しかありません。葉柄が隠れて「見えない」のが<みずナラ>です。
1O)雪の上の足跡はニホンリスです。後足が二つ並び、後ろに前足が小さく並びます。ノウサギは少し大きくて後足のうしろに縦に前足がつきます。


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