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その他の研究会(過去の実績) 運動処方 |
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勝木 道夫 (医)社団勝木会及び、 (社)北陸体力科学研究所理事長 健康と温泉FORUM実行委員会 理事 |
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温泉地を健康づくりに活用するには、温泉浴と適切な運動を併用することが必要である。 ところが、運動によって起こる反応には個体差がみられ、人によってさまざまであるので、性別、年令、体力水準、これまでに罹った病気、現在罹っている病気や障害の有無、運動に対する知識や興味の有無や強弱などに応じた運動を処方することが大切である。 さらに、運動が効果的であるためには、運動の質と量の2点を考慮し、適切なものを選んで実行しなければならない。 1.運動の質(種類) 運動はエアロビック(有酸素性)のものとアネロビック(無酸素性)なものに2大別される。前者はウオ−キング、ジョギング、スイミング(ウオーターエクササイズ)といった運動で、全力疾走やウエートリフティングなどは後者である。前者は粘り強さを増し、後者は力強さを増す効果がある。 2.運動の量 運動の量は強度・時間(時刻)・頻度・期間などによって決まる。強度は心拍数、酸素摂取量、METS、主観的運動強度、最大筋力に対する割合などで表わす。時間は一日に何分間、一日24時間のうちの何時に行うか。頻度は一週間に何回行なうか、そして期間はとりあえずいつまで行なうかを処方する。 運動を継続し、習熟するに伴って体力が向上するので、常に適切な運動強度を与えるために運動負荷が徐々に増えていくプログラムを設定する。 エアロビックな運動では@全身を使って行なう運動であることA5分間以上継続する運動であることB一回の運動で疲れきってしまうような運動ではないこと──の三条件が必要で、一般的には年齢別最大心拍数(220−年齢)の75%の強度で、一日に30〜60分間、一週間に2〜3回くらいのエアロビック運動がよいとされるが、あくまでも個体差を重視しなければならない。 対して、効果的なアネロビック運動は、最大筋力の80〜90%で、一回4〜6秒行なうのが一般的だが、急な動きや強い負荷のために身体の局所に無理な力がかかることがあるので、体力水準の低い人や運動に不慣れな人には初めのうちはこの種の運動を行わせない。 一般の人に運動処方を行なう際には循環器系に適度な刺激を与え、消費エネルギーを増やし、粘り強さを増すことができるエアロビックな運動のほうが、アネロビックな運動よりも適切である。どちらの種類の運動を行なうにしても、運動の前後にはウオーミング・アップとクーリング・ダウン(軽い体操やストレッチング)を必ず行なわなければならない。 運動を行なってよい効果のみを得て、弊害を生じさせないためにはあらかじめ、また定期的にフィジカルチェック、メディカルチェック、生活習慣チェックを受けることが大切であり、単に年齢などのみから判断すると障害の出る恐れがあることを充分認識しなければならない。 スポーツはもろ刃の剣であり、運動処方はスポーツ障害の防止に充分配慮されたものでなければならない。やみくもにスポーツにのめり込む人が意外に多いので、障害防止のための提言がなされている。例えばランニングは基本的なスポーツ運動で、心身に有用であるが障害も数多くみられる。走行距離が長くなるほど障害発生も高率になる。中高年ランナーでは加齢による運動器の退行変性が存在し、腰痛、膝痛が出現しやすいので、メディカルチェックを受けるとともに月間走行距離を200キロメートル以内に止めることが望ましい。(日本臨床スポーツ医学会からの提言)。 誕生日などのメモリアルデーを利用して、単なる人間ドッグのみでなく、体力・運動能力のチェックを年一回は受けて運動処方とこれに基づいた運動プログラムを得ておくことが必要である 以下に示したものは、私どもの(財)北陸体力科学研究所におけるチェック項目である。
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