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温泉と健康サービス

序 論

白倉 卓夫
NPO法人健康と温泉フォーラム会長


 温泉地に一、二泊滞在して疲労を取り除いてリラクセーションを図る休養型、疾病治療を目的に長期にわたり滞在する湯治型といった温泉の利用形態以外にも、一定期間温泉地に滞在し、生活することをとうして本来の体内リズムを修復して体調を整え健康体を取り戻す場としても温泉地は広く知られている。この温泉と温泉地は長い歴史のあるヨーロッパ諸国では古くから温泉保養の場として活用されてきた。
 今わが国では中高年者を中心に、いわゆる生活習慣病の著しい増加が注目され、その防止、抑制はわが国の保健分野での最大課題となっている。これら生活習慣病の克服には適切な栄養、運動そして休養が不可欠となる。温泉保養に配慮したこれらメニュウを盛り込んだプログラムの実行のためには、温泉地の環境整備といったハード面のみでなく、保養に関連した人たち(温泉療法医、保健師、管理栄養士、健康運動指導士ほか)のソフト面からのサポートが重要であり、そのため温泉保養には多分野の協力が必要となる。一方で、わが国の温泉地が健康医学面のみでなく、社会状況、温泉地経済とう広い分野からも、従来の温泉地から脱皮して新しい温泉保養地の構想、実現に努力しなければならない時にあることも事実である。

 本講座では温泉保養といったわが国ではなお確立していない温泉の利用形態を「温泉(地)と健康サービス」といった観点から解説して、温泉保養についてより多くの方に正しく理解して戴き、ひいてはわが国に真の温泉保養地が醸成されていくことを目的としている。講座内容の概要は以下のとおりである。 

I 温泉保養地とは
健康増進、疾病予防を目指す温泉保養地とはどのようなものか。温泉のほか地形、気象など温泉地という環境がどのような関わりで保養効果がもたらされるのか。 そしてまたこのような保養システムは実際にはどのような形で活用されるべきか。具体的に解説する。

II 温泉保養のための栄養、運動
保養効果を左右するのは栄養と運動といっても過言ではない。温泉地にあって保養のための食事、運動はどうあるべきか。温泉保養者の多くが抱えていると予想される生活習慣病<高血圧、糖尿病、高脂血症など>を主対象に具体的なメニュウも提示しながら解説する。

III 温泉利用型の高齢者福祉・医療施設とは
温泉にはそれが持つ物理的作用以外にも心を癒してくれる精神・心理的作用を無視できな
い。この癒し効果こそ温泉保養の主役を演じているのかも知れない。高齢者のための温泉
利用型福祉・医療施設では高齢者の社会復帰のためのリハビリ効果がどのようにしてもた
らされるのか。具体的な提示をとおして解説する。   

IV 温泉浴で注意したいこと
温泉浴中あるいは出浴後に脳、心脈管系の急性疾患を発症する高齢者はわが国では決して少なくない。とくに高温浴は温泉の保温作用も加わって高齢者では強い脱水を引き起こし、これら疾患に進展しやすい。温泉浴前後のイオン飲料の摂取、高温浴を避けるといった注意が必要となる。適切な温泉保養のための留意点を具体的に述べる。

X 温泉に生きる微生物
もともと天然の温泉には種々の環境下で生息している微生物がいる。一方、老人ホームや水利用型のレジャー施設などではレジオネラ族菌が繁殖して肺炎を引き起こす事例もみられている。こういった人為的な原因で浴水中に繁殖する微生物もいる。この機会に温泉に生きる微生物について多くの人に知っていただくコーナーである。

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