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日本の温泉地再生への提言 [7] -第1グループ 旅館・温泉地リーダー

増富ラジウム温泉郷の癒しの里作り 今後の取り組み方

小山 芳久
(須玉温泉)(財)みずがき山ふるさと振興財団 総支配人


 今回の原稿作成にあたり、私どもが増富ラジウム温泉郷を癒しの里にする事を目指して、今までに進めてきた過程と今後の取り組み方を説明することで、現場からの意見とさせていただきます。
 まず、増富らしさは何かを考えます。まず第一が自然浴にふさわしい環境です。ここは、山梨県に2箇所だけ認定されている温泉保養地です。心地よい日光、都会の4倍もあるマイナスイオン・豊富なフィトンチッド・ラジウムが気化したラドンを吸引しながらのウォーキング。これらを自然浴と私どもは呼んでいます。これに、源泉の持つ効能効果を最大限に生かした温泉の入り方(温泉浴)を取り合わせることにより、この温泉郷でしかできない独自の生き方が生みだされるはずだと考えます。
 一昨年温泉利用指導者の認定を得てから、症状別の入浴法が出来ないものか?しかも、源泉をできるだけ有効に使った入浴方法を確立できないかと考えました。 当館の源泉風呂は3種類ありいずれもかけ流しの風呂です。


1)寝湯の源泉風呂(25度〜28度)
 これは、心の癒し空間として寝ながら入れます。身体が冷たく感じたら、併設のジャグジーに入り身体を温めます。ここではストレスを解消し免疫力を高める工夫として、腹式呼吸をしてもらいます。呼吸を行うと、身体が浮いたり沈んだりします。この状態を持続することでリラックス効果を肌で感じることが出来ます。胃腸障害・偏頭痛・更年期障害等に有効で、また、フェイスマスクに源泉を染み込ませ美顔エステすることも評判です。

2)交代浴の冷源泉風呂(25度〜28度)
 まずは足だけ入ります。身体が冷えたら薬湯風呂39度・大風呂38.5度・サウナ等で身体を温めて次は腰までという様に、3から5セットかけて肩まで浸かります。これは、循環機能を高め血液循環を促進する。冷え症・ 不眠症・慢性頭痛・下肢血行障害に効果ありまた美容効果もおろそかに出来ません。

3)32度の源泉風呂
 15分〜30分以上の入浴で体内環境をアルカリ性に傾けます。ホルモン分泌のバランスを整え、乳酸・尿酸等の老廃物を洗い流す。肝機能障害・胆石症・痛風・糖尿病・血液疾患


 このように症状別の温泉の入り方の完成を目指していましたが、進めれば進めるほど、これらの症状に対するもっと根本的な原因を、把握しなければならないと考える様に成りました。それは、利用客の中には冷えに弱く、源泉に入れない【夏には入れたが秋になるとだんだんとは入れない人が増えてきた】という問題が起こりました。調べてみると陰(冷え性)と陽(暑がり)の体質の違いがあるのではないかという疑問が生まれました。現在の源泉の温度は32度の源泉風呂・25から27度の源泉風呂2種類です。(ちなみに大風呂、薬湯風呂は39度あります。)私は、どちらかというと陽の体質なので、冬でも25度の源泉に入れますが、つい最近まで陰の体質というものがあるという事が良く解りませんでした。感覚としては3度水温を落としたと想定するとやはり入りずらいなあと、なんとなく解ります。そして今、身体が冷えている体質の人が多いというのが、最近特に思う個人的な実感です。それでは、身体を温めるにはどうすれば良いか?冬でも源泉に入ってもらうには、どうしたらよいのでしょうか。源泉の効能をできるだけ生かしたいのですが、あまりにも我慢をして源泉に入ることは、特殊な事情の方を除いては、余分なストレスを自分の身体に与えすぎてしまい、かえって身体を痛めてしまう可能性があります。身体を温める食べ物も一つの手段でしょうが、まずここ(増富の湯)では、我慢しなくて入浴できる環境作りが重要だと思います。そのために源泉の温度を冬には35度・30度・25度の3種類の源泉風呂になるように改良したいとおもいます。この事により利用者の選択幅が増え、自分に一番合った入浴をして頂けると思います。
 増富の湯の源泉ってなぜいいのかを説明致しますと、地下300メートルよりくみ出された源泉は、地球の生命エネルギーがいっぱい入っています。絶えずその源泉をかけ流すことにより、湯舟を新鮮な状態に保ち、入浴によりその〈気〉を身体に吸収してまず《元気》を復活してもらいます。そして源泉効能である血液の循環を良くして体内の老廃物を取り去る力と余分な水を排出する力で体温を上げる方向に傾けます。
 また今後の取り組みとしては、もう一歩進めて、長年かけて身体の中にたまってしまった毒素を出し切る温泉療養プログラムを確立させたいと思います。これにはもちろんお医者様の指導がなくてはできないのですが、週末断食やミニ断食などを取り入れ、温泉郷の宿で宿泊してもらい、本格的なラジウム泉で解毒作用とアドレナリン・ベーターエンドルフィン・メチオニンエンケファリン・インシュリンなどのホルモン分泌の調節を目的としたラジウム療養効果と、増富の湯でリラックス効果を高めた療養効果を確立し、増富ラジウム温泉郷の自然環境を利用した自然浴を絡み合わせた独特な療養プランニングを完成する事が目標です。
 本物の源泉の価値を突き詰める事と、もう一点、楽しさの演出も考えていかなければ成らないと思います。イベントができる会場をつくり、現在行っている健康作り教室の一環としての中国医学講座・吹矢教室などに加え、温泉講座・気功・ヨガ・つぼ講座等を定期的に開き開催しないときは親子のスポーツちゃんばらや、ビデオ鑑賞のできるリラクゼイションルームにする。また、遊歩道コース(自然道コース・歴史文化コース) ・植樹祭会場ウォーキングコース・裏山の遊歩道をアスレチックやハンモッグの森にし、ウォーキングを中心とした運動は、個々の体力に合わせたコース選びが出来なければならないと思います。滞在型を目指すには、素泊まりや自炊の料金設定をどの位に見るかが重要です。それには、対象者である一般の年金受給者の要望がカギになると思います。都会で暮らす生活の費用を換算し、これより安ければかなりの需要が見込めるのではないか。おおよそ長期滞在型の一ヶ月の滞在費用は10万円位ではないかとも言われております。最後に増富の湯を温泉利用型健康増進施設に認定してもらえるにはどうするのかがこれからの課題です。予防医学に基ずく癒しの里つくり実現のためには、医療面のタイアップ体制とノウハウが必要です。


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