目次 NEXT | |||
日本の温泉地再生への提言 [38] -第2グループ 医学 基本的には源泉100%の湯こそ療養泉 ―源泉100%の温泉ホテル?― |
|||
鈴木 仁一 (仙台) 温泉認定療法医 仙台市 鈴木心療内科 |
|||
最近温泉案内誌によく源泉100%とか、かけ流しといかにも本当の温泉はこれといわんばかりの記事が出はじめた。 私はその眞髄を確かめるためのイタズラ的研究をやっている。源泉をみせてくれない宿が多いので、浴槽内の湯温とPHを温泉にひたりながら測定している。温度は引湯などで低下することもあろうがPHはごまかせない。測定値と脱衣場などに掲示してある分析表のPHに違いがあれば、ウッフッフと苦笑いしている。真面目な宿らしく浴槽の壁に「天然温泉ですが、熱すぎるので水道水をわずかに混入してあります」と掲示してある湯にぶちあたった。このような正直な経営者もいる。東北だと、玉川、須川、乳頭、峩々のように源泉の流れそのまゝが浴槽に入っている伝統的湯宿はまだ残っている。 温泉地の再生のあり方 温泉法を改正し、その上で天然自然湧出泉の称号を行政当局が与える。 現在よくみられる、銭湯付宴会用ホテルには別の名称をつけるよう指導することである。 糖尿病や高血圧、高脂血症を助長するような御馳走で客を呼込まんとする手段をやめさせ、各疾患に適応した料理メニューを客にしめすべきである。 テレビの「温泉・・・・・」という宣伝めいた番組は環境庁から廃止するように勧告を出すべきである。 「日帰り温泉」の広告や実施地が多いが、これは療養でなく、気分をよくするだけ≠ネので、病気と結びつけさせない。 要は温泉地のホテルなどの経営者組合と行政が一体になって金儲け≠ナないモデル温泉ホテルを指定する運動をすれば、本物を求める病人達の評判がよくなり活性化につながる。 生活習慣病の指導 私が須川温泉で行ったような患者と医師が一緒になっての中期(5?10泊)的生活訓練をやり、その医療を行うのは温泉療法医でなければならず、その際には保険の給付をキチンと認め、医療機関の収入として請求できるように環境省から厚労省に申し入れさせると、生活習慣の改革がなされるであろう。その際、温泉浴は運動療法のひとつにもなる。この場合、第一線を退いた医師達を再教育し温泉療養医として老医を活用した方がよい。 また温泉宿泊施設での御馳走競争はやめさせ、メニュー選択制をとり、自身で運動量の測定をするように指導できる人と設備を整備する。また、出来るだけ個室(1人用とカップル用)を多くしておく。正しい生活をやった日をチェックする表をつくって配布し記入後に指導するとよい。 長期滞在型療養施設 何と言っても、生活(温泉ホテルでの)を指導し、且つ、治療できる温泉医(有資格)を配置し、その人々の待遇を病院の医師と同じようなものにしないといけない。たゞの昔風の湯治場の復活では、患者さんは集らない時代になっている。 医療補助職として、運動(理学)療法指導士、栄養士、教養(音楽療法士、アロマテラピスト、宗教を含む)指導者などが、適切な待遇で配置する必要もある。これは第一線を退いた定年後の人々の方がよい。その人々自身の療養にもなる。 温泉地活性化のために 温泉付養老健施設を各温泉地に一ヶ所つくること。鹿教湯の病院のようなところで、老健施設を併置させてみるモデルをつくるのも一法である。この場合は介護保険も適用できるようにする。 |
|||
目次 NEXT | |||
Copyright(c)2004 NPO法人 健康と温泉フォーラム All rights reserved. |