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日本の温泉地再生への提言 [32] -第2グループ 医学

有馬温泉の今後

先山 嘉延
(有馬) 温泉療法医 医療法人社団 清信会 先山クリニック


先代の後をついで整形外科医として当院に赴任して5年が経ちました。研修医時代から約10年間地方病院のローテーション勤務で整形外科畑を歩いてきましたが温泉治療などというものは一般的な理学療法における温熱療法のひとつに過ぎず、いわゆる代替療法に他ならないと思っておりました。しかし、有床診療所の一部を改装し、温泉を採掘してオープンした小さなホテルを運営するにあたり自らも毎日温泉を利用するようになりました。その結果、温泉の効果を自ら体感することができ、また整形外科医としても興味を抱きました。その後温泉気候物理医学会の温泉療法医として学ばせていただくうち、一つの確立した治療法となる可能性を秘めているのではないかと思いました。以前より有馬温泉には高級なイメージがあり気楽に宿泊しにくいところがありました。バブル崩壊後、当有馬温泉においても肥大化した観光旅館の運営には多くの問題が残されました。今こそ本来の温泉の目的である健康増進のための利用を促進すべきであり、遊興施設からの脱皮が必要ではないかと考えております。



 温泉による療養効果を得るにはやはり、ある程度の継続した入浴期間が必要かと思われます。しかし、肥大化し、多くの負債を抱える宿泊施設においては安価で長期滞在ができる施設への転換は難しく、食事も高級懐石料理を簡素な料理へ急にかえることは不可能に近いようです。また旅館経営者の多くが高齢化しており基本的コンセプトの転換への理解が難しいようです。
従って、今後の展開としては、温泉地を統括する観光組合、旅館組合等が積極的に温泉療養を推進し、各旅館、ホテルへ働きかけることが必要かと思います。有馬温泉におきましても最近、旅館組合運営の自炊可能なホテル形式の宿がオープンしました。今後は地元開業医として可能な限り各旅館に働きかけ、観光客だけではなく地元の住民も気楽に温泉による療養が出来るような温泉地を目指しております。


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